2004 Fiscal Year Annual Research Report
広葉樹林地帯における現存量および二酸化炭素固定量の推定
Project/Area Number |
15580121
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
龍原 哲 新潟大学, 農学部, 助教授 (40227103)
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Keywords | 種組成 / 原生林 / 地理情報システム / 地形 / 環境要因 |
Research Abstract |
新潟県東蒲原郡上川村大字神谷字赤柴山国有林278〜280林班にあるブナが優占する落葉広葉樹原生林と対象とし、対象地内に28箇所の固定試験地を設置した。胸高直径5cm以上の立木の毎木調査を行うととに、DGPSとレーザ距離計を用いて位置座標値を取得した。なお、試験地の大きさは355〜1000m^2である。1/5000の森林基本図から等高線をデジタイザによってGISに入力し、DEM(数値標高モデル)を作成した。このDEMから光環境因子(陰影起伏)、水文環境因子(週水域積算、wetness指数)、地形因子(標高、傾斜、曲率、露出度)の主題図を作成した。対象としたのは上層木のブナ、トチノキ、ホオノキ、サワグルミの4樹種である。各プロットの4樹種に対するそれぞれの樹種別断面積割合を目的変数とし、各因子を説明変数として重回帰分析を行った。重回帰分析から求められた推定式から脚高断面積割合の推定値を算出し、実測値との誤差を調べた。 重回帰分析の結果、ブナは標高に弱い正の相関傾向が見られ、標高が高くなるほど割合も高くなる傾向が示された。また、ブナは陰影起伏と正の相関傾向が見られる。逆にトチノキとサワグルミは陰影起伏に関し負の相関傾向が見られるため、斜面方位の違いが分布の違いとなっていることが分かった。さらにトチノキは標高に弱い負の相関傾向が見られ、低標高域での割合が比較的高い事がうかがい知れた。サワグルミは露出度と負の相関傾向を示し、土壌水分の多いところでは割合も多くなる傾向が示された。今回ホオノキに関しては分布を上手く説明できる変数が無かった。以上のことから、DEMから作成した地形因子、光環境因子、水文環境因子からの樹種分布の推定は4樹種中3樹種について可能であるといえた。しかし、今回用いた因子だけでは不足していることも示された。
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