2004 Fiscal Year Annual Research Report
樹木バイオマス相対成長式の統合と生態系純生産量の試算
Project/Area Number |
15580123
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小見山 章 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (60135184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 博 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (50303516)
加藤 正吾 岐阜大学, 応用生物科学部, 助手 (20324288)
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Keywords | NEP / NPP / 土壌呼吸 / 炭素固定 / 相対成長関係 / バイオマス / 落葉広葉樹林 / 季節性 |
Research Abstract |
現在、地球環境問題との関係で、森林生態系における炭素収支である生態系純生産量の研究が盛んに行われている。生態系純生産量は森林の純生産量と土壌呼吸量より推定される。土壌呼吸量は、植物根や微生物の呼吸により土壌から放出されるCO2で、季節や空間による変動が大きい。本研究では、季節変化や空間変動を考慮した土壌呼吸量の推定と、生態系純生産量の年次変動を明らかにすることを目的とした。 岐阜県荘川村六厩の110年生の落葉広葉樹林に設置した調査区内(100m×100m)の25地点で土壌呼吸速度と環境要因(地温、土壌含水率)を測定し、年間の土壌呼吸量を推定した。また、人工降雨実験より降雨が土壌呼吸速度に与える影響についても検討した。森林の純生産量は積み上げ法(小川,1967)を用いて樹木の成長量、枯死量、被食量より推定した。 土壌呼吸速度は、5cm深の地温との間に最も高い相関があり、2000年から2004年にかけての土壌呼吸量を5cm深の地温より推定すると7.27〜7.59tC/ha/yrであった。5cm深の地温が約8℃から約19℃に上昇するときの土壌呼吸速度の増加割合を各地点で比較すると、1.2倍〜7.0倍と大きくばらついていた。土壌中における根、石礫、間隙の量や状態の違いにより、地温に伴う土壌呼吸速度の増加の割合に空間変動が生じるものと考えた。降雨による土壌呼吸速度の変動は、降雨直後に一時的にみられたのみであった。2000年から2004年にかけての生態系純生産量は-0.39〜+0.12tC/ha/yrで、この森林の炭素収支はほぼ±0であることがわかった。生態系純生産量の年次変動を、成長量、枯死量、土壌呼吸量と気象要因(降水、気温、日照)との関係より検討した。生育期間(5月〜9月)の平均気温の増加に伴う土壌呼吸量の増加は、同様に生じた枯死量の増加により相殺されていた。5年間の成長量は、ほぼ一定の値を示した。この結果、2000年から2004年にかけての生態系純生産量の年次変動は小さくなっていた。
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