2005 Fiscal Year Annual Research Report
森林流域における一酸化二窒素・メタンの吸収・放出とそれに及ぼす水文過程の影響
Project/Area Number |
15580124
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
杉本 敦子 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (50235892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 秀昭 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (70281798)
高木 健太郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助手 (20322844)
大手 信人 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10233199)
徳地 直子 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60237071)
木庭 啓助 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 講師 (90311745)
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Keywords | 一酸化二窒素(N2O) / メタン(CH4) / 森林流域 / 水文過程 / 酸化還元環境 / 脱窒 |
Research Abstract |
森林流域からの一酸化二窒素(N_2O)・メタン(CH_4)の吸収・放出と,その制御要因としての水文過程に焦点を当て,引き続き滋賀県南部の桐生試験地において観測・分析、および観測結果の解析を行った.CH_4に関しては,流域内の湿地とその周辺,N_2Oは源頭部小流域においてそれぞれガス態と地下水溶存態の濃度を測定し、水位など水循環過程に対応した季節変化が観測され,CH_4の炭素安定同位体比の測定,N_2Oの窒素と酸素の安定同位体比の測定結果から、以下のようなことが明かになった。 1.土壌水分量の少ないヒノキ林の土壌では年間を通じてメタンは吸収、湿地土壌は年間を通じて放出を示していた。メタンの生成・放出は、地温と地下水位の変動に伴なう土壌中の酸化還元状態の変化により制御されている。吸収過程には主として土壌水分条件が影響していることがわかった。 2.湿地における地下水中の溶存CH_4とCO_2の炭素安定同位体比の季節変動はよく一致しており,主なCH_4の起源が有機物の分解の結果供給されたCO_2であることが示された. 3.上記のような空間的・季節的な変化があるが、流域全体では年間を通して考えるとメタンのソースとなっている可能性が示唆された。以上のメタン生成と放出に関して、観測結果を水文・水資源学会誌に公表した。 4.N_2Oは,主に飽和地下水帯縁辺部において,DOC供給が豊富なところで生成されていることが明らかになった.この部分は通常嫌気的であるので,N_2Oの生成は脱窒によるものと考えられた.地下水帯の中央深部ではN_2O濃度が大気平衡レベルよりも低く,N_2へのさらなる還元が進んでいることがわかった. N_2Oの生成が活発である地点におけるN_2Oの窒素安定同位体比は,大気中のN_2Oのそれより顕著に低く,脱窒による生成を裏付ける結果であった.また,逆に地下水帯深部の溶存N_2Oの窒素安定同位体比は高く,N_2へのさらなる脱窒の進行を示唆している。
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