2004 Fiscal Year Annual Research Report
窒素と光の資源量が異なる樹木個体における資源利用効率の解析
Project/Area Number |
15580125
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
川口 英之 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (40202030)
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Keywords | 樹木実生 / 種子重 / 資源比 / トチノキ / 養分 / 光 / アロケーション / 成長 |
Research Abstract |
トチノキの種子は日本の樹木の中でも大きくて重いが、そのサイズは個体間や個体内でばらつき、発芽からしばらくの成長に使用できる資源量も種子ごとに異なる。サイズの異なるトチノキ種子を光条件と養分条件が異なる環境下で発芽させ、光と養分の不足に対して種子サイズの異なる実生が資源配分をどのように変化させるかを調べ、種子に持ち込まれた物質が光不足と養分不足のどちらに対応したものか検討した。 トチノキ1個体から採取した種子を重さ段階に分け、光条件2段階、養分条件2段階の4組合せの処理下でポットに播種した。発芽から50日後に各処理10個体ずつ収穫を行い、各器官の重量などを測定した。残りの個体については落葉を回収し芽と幹の大きさを測定した。 トチノキ実生の個体重と葉面積は種子重にほぼ比例し、葉面積は種子サイズが同じであれば生育環境によらずほぼ同じであった。同化器官重に対する非同化器官重の比は処理や種子サイズに依存せず、ほぼ同じであった。地下部重に対する地上部重の比は光の不足に対して大きくなり、暗条件では種子サイズが大きくなるにつれて大きくなった。つまりトチノキ実生は,葉面積と葉への配分の比率は変えずに、それぞれの生育環境に応じて葉の厚さや地下部と地上部支持器官の比率を変化させ,さらに暗い環境では、大きい種子は地上部支持器官への配分を多くしていた。このような形態的な変化に施肥の効果が小さいこと、また施肥による個体重の増加がないことより、トチノキの大きな種子サイズは光不足に対応したものであり、種子に貯蔵された養分を主に使って初期の成長を行なっていると考えられた。
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