2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580128
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
曽根 晃一 鹿児島大学, 農学部, 教授 (60264454)
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Keywords | 種子食性鳥類 / 果実食性鳥類 / 種子食性哺乳類 / 動物散布種子 / 自然落下種子 / 稚樹発生状況 / 標識再捕調査 / かすみ網 |
Research Abstract |
1.広葉樹林とそれに接するスギ人工林内での種子落下状況 秋に3度台風が襲来したために、秋の結実は非常に悪かった。種子の分散特性は、昨年度と同様、自然落下した鳥散布型種子と重力落下種子は広葉樹林内とその周辺に限られていたのに対し、鳥散布された種子では広葉樹林内に落下しているものもみられた。 2.鳥類および種子食性哺乳類相とスギ人工林内への種子の持ち込み プロットセンサス法により、2004年4月から12月までに、36種類の鳥類を記録した。そのうち、スギ人工林内では17種類確認し、果実食性鳥類は10種類を占めていた。人工林で多くの個体が観察されたヒヨドリと広葉樹林内で個体数が多かったヒヨドリとメジロが、それぞれの林分内への種子散布に重要な役割を果たしていると考えられた。調査地内にかすみ網を設置したところ、ルリビタキ、シロハラ、エナガ、ウグイス、コゲラ、シジュウカラ、ソウシチョウ、マミチャジナイ、ヤマガラが捕獲され、シロハラの糞からヒサカキ、ウグイスの糞からフユイチゴの種子が回収できた。 調査地内にかごわなを設置したところ、アカネズミとヒメネズミが調査期間を通して捕獲された。アカネズミとヒメネズミの何個体かは、恒常的にスギ人工林と広葉樹林のいずれでも捕獲され、スギ人工林と広葉樹林にまたがる行動権を持っていると考えられた。それ以外に、ヒミズが数個体捕獲された。小型の磁石を装着したマテバシイのドングリを広葉樹林内の林床に設置し、野ネズミに運搬させたところ、最大40m以上ドングリを運搬し、地中に貯食した。また、設置したドングリの半数近くは針葉樹林内に運搬された。 3.スギ人工林内での広葉樹の稚樹の発生状況 2003年度に引き続き、調査地内の植生調査を継続して実施した。スギ人工林内の稚樹は62種6050個体で、シロダモ、マテバシイ、ヤマグワ、タブノキが多かった。そのう,ち、シロダモ、マテバシイ、ヤマグワの稚樹は、比較的人工林内にまんべんなく発生していたが、タブノキは母樹近く多く発生し、発生数の場所間でのばらつきが大きかった。 また、林内の照度を測定したところ、広葉樹林よりスギ人工林内での照度が高く、稚樹の生育のための光条件はよいことが明らかになった。
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