2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580153
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
安藤 靖浩 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (30261340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高津 哲也 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助手 (50241378)
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Keywords | 仔稚魚 / DHA / EPA / 脂肪酸組成 / 脂肪酸分析 / 高速液体クロマトグラフィー / 個体分析 |
Research Abstract |
海産仔稚魚に含まれるDHAやEPA等の必須脂肪酸成分を1個体ごとに迅速かつ簡便に分析する手法を確立し,実際に天然仔稚魚の分析に適用して脂肪酸成分の個体間差の特徴を捉えた。 1.高安定蛍光検出器を導入して高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による脂肪酸分析の微量化を行った。このことにより,体長が数mmの仔稚魚1個体の部位別(例えば体部や眼部)の脂肪酸分析が可能となった。 2.脂質の抽出,反応,回収の行程を極力簡略化し分析の迅速化を行った。脂質抽出以後の行程は一本の使い捨てガラスバイアル中で実施可能となった。ひとつの分析に要する時間はHPLCを含めて約3.5時間,多検体を同時に分析する場合は1日当たり10〜12検体の処理が可能である。 3.陸奥湾および噴火湾で採取した16魚種300個体の仔稚魚の体部(消化管・卵嚢を除く)の分析を実施し,各個体の脂肪酸組成を決定した。仔稚魚の主要脂肪酸は,すべての個体に共通してDHA(30%),EPA(15%),パルミチン酸(20%)の3種類であることが明らかとなった。 4.上記の仔稚魚に含まれるDHA含有量(μg)を算出した。体長が同等でもDHA含有量は個体間で大きく異なった。体長ごとに相対標準偏差を比較した場合,カタクチイワシでは4.5mm(平均DHA含有量=0.5μg),イカナゴでは3.5mm(0.2μg)および5.5mm(0.5μg),マガレイでは3.0mm(0.2μg)および4.2mm(0.5μg)付近で変動が大きいことが認められた。本研究により天然仔稚魚のDHA含有量は個体間差が一様ではないこと,魚種ごとにその差が大きくなる発育段階のあることが明らかとなった。
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