2004 Fiscal Year Annual Research Report
黒潮影響域におけるウニと海中林の相互関係に関する生態学的研究
Project/Area Number |
15580154
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吾妻 行雄 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (50292256)
|
Keywords | バフンウニ / ムラサキウニ / 海中林 / 分布 / 深浅移動 / 生殖周期 / 植生 |
Research Abstract |
和歌山県日ノ御崎沿岸の40m^2の実験区で,前年度に引き続いてバフンウニとムラサキウニの鉛直分布と生殖巣の発達を植生と対応させて季節的に調べた。実験区におけるウニ2種は,淡水が過度に流入して塩分が21psuへと低下した6月に大量に死亡し,密度は著しく低下した。ウニの大量死亡後,アラメの幼体が入植し,生育に不適な水温が高い温暖な海況条件であったにも関わらず,今まで潮間帯にのみ認められたアラメが水深1mまで分布を拡大した。しかし,それ以深2mまでの有節サンゴモ群落においては,幼体は認められたが,成体には至らずに消失した。深所の海中林の形成はウニの摂食圧以外の要因で阻害されると判断された。組織学的な観察により,バフンウニの生殖巣はアラメ海中林において7月から10月の回復期を経て,12月から1月の成長期から成熟後期,そして3月の放出期へと移行した。ムラサキウニの生殖巣はアラメ海中林において5月から7月に回復期あるいは成長期から成熟後期あるいは放出期へと至り,10月には一部回復期の個体も認められて以後3月まで回復期が持続した。有節サンゴモ群落においては,両種の成熟への進行はアラメ海中林に比べて若干遅かった。いずれの種も殻径18mm以上のサイズで性成熟することが明らかになった。また,バフンウニが有節サンゴモ群落からアラメ海中林形成域へと深浅移動する秋季から春季は成熟から産卵にいたる時期であることが明らかになった。
|