2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒラメレンサ球菌症における免疫防御メカニズムの解明
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15580166
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
金井 欣也 長崎大学, 水産学部, 教授 (40145222)
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Keywords | ヒラメ / レンサ球菌症 / Streptococcus iniae / 免疫防御 / マクロファージ活性化因子 / 抗体 / ワクチン |
Research Abstract |
昨年度は、S.iniae FKC免疫魚を攻撃して2日後に採取した血清(免疫・攻撃血清)から特異抗体と特異抗体を除去した免疫・攻撃血清を調製し、ヒラメの生体防御能活性化作用を調べた。本年度は、ヒラメ腹腔内マクロファージの食作用を調べることにより、免疫・攻撃血清のマクロファージ活性化作用を検討した。 抗ヒラメ抗体モノクロナール抗体をリガンドとしたアフィニティークロマトグラフィーで調製した特異抗体、免疫・攻撃血清、正常血清およびPBSをヒラメの腹腔内に接種し、24時間後に腹腔内細胞を採取して密度勾配遠心法によりマクロファージを得た。各処理区のマクロファージに新鮮血清でオプソナイズしたS.iniaeを30分間貪食させ、食菌率および殺菌率を求めた。また、ザイモザンあるいはS.iniaeの添加による活性酸素産生能を調べた。その結果、食菌率については、PBSおよび正常血清区が8〜13%であったのに対し、特異抗体区は7〜13%で対照区と差がなかったが、免疫・攻撃血清区は29%であり、明らかに高かった。しかし、殺菌率および活性酸素産生能には試験区間の明瞭な差異は認められなかった。次に、特異抗体、免疫・攻撃血清、正常血清およびPBSでS.iniaeをオプソナイズし、正常ヒラメから採取した腹腔内マクロファージによる食作用を検討した。その結果、特異抗体区の貪食率はPBSおよび正常血清区と大差なかったが、免疫・攻撃血清区では明らかに高かった。殺菌率も免疫・攻撃血清区が最も高かった。活性酸素産生能では、ザイモザンでは明瞭な差異がなかったが、免疫・攻撃血清でオプソナイズしたS.iniaeでは明らかに高かった。 以上の結果から、マクロファージの活性化という観点からみると、免疫・攻撃血清に含まれる特異抗体以外の因子あるいはそれと特異抗体が生体防御能を活性化させていると推察された。
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