2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580180
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
石崎 松一郎 東京海洋大学, 海洋科学部, 助手 (40251681)
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Keywords | 血合筋 / ミオシン軽鎖 / cDNAクローニング / 魚類 / 熱安定性 |
Research Abstract |
血合筋ミオシン軽鎖の機能を明らかにするために,昨年度cDNAクローニングによって塩基配列および演繹アミノ酸配列を決定したマアジおよびシマアジ血合筋ミオシン軽鎖につき,それぞれD1軽鎖およびD2軽鎖をコードするDNAを鋳型に,制限酵素NheIおよびBamHIの認識配列を有するプライマーを用いてPCR増幅を行ない,発現ベクターpETにサブクローン化した.つぎに,本発現ベクターに対応する発現用宿主大腸菌BL21(DE)pLysSにトランスフォームした後,LB培地を用いて大量培養し,IPTGを加えてタンパク質の発現を誘導した.菌体を集菌した後,プロテアーゼ阻害剤を含む溶菌緩衝液を加え,さらに超音波処理して菌体を破砕した.抽出液につき各種クロマトグラフィーを用いてリコンビナント・ミオシン軽鎖を精製し,得られたリコンビナント・ミオシン軽鎖の各種生化学的性状を普通筋ミオシン軽鎖のそれらと比較した. 普通筋ミオシンに対し,同一魚種における血合筋由来のリコンビナント・ミオシン軽鎖を加えたハイブリッド・ミオシンの熱安定性をATPase活性を指標として調べたところ,普通筋ミオシンに比べてハイブリッド・ミオシンでは熱安定性が低下する傾向を示した.一方,血合筋ミオシンに対して普通筋由来のリコンビナント・ミオシン軽鎖を加えたハイブリッド・ミオシンでは,逆に血合筋ミオシンよりも熱安定性が増加する傾向を示した.したがって,普通筋および血合筋ミオシンの熱安定性に軽鎖が関与している可能性が示唆された.さらに,両ハイブリッド・ミオシンの加熱中におけるαラセン構造の変化からも上記の可能性を支持する結果が得られている.
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