2003 Fiscal Year Annual Research Report
世界の水産業におけるアグリビジネス化の展開とその企業行動の分析に関する研究
Project/Area Number |
15580199
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
佐野 雅昭 鹿児島大学, 水産学部, 助教授 (60262341)
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Keywords | 水産物世界市場 / 水産アグリビジネス / サケ養殖業 / 水産資本 / 水産物貿易 |
Research Abstract |
本年度は国内企業の海外における行動に関する調査を行った。また海外における外国企業の活動状況について、資料を収集し分析を行った。 国内では(株)日本水産の海外における積極的な直接投資と活発な業務拡大が注目された。特に米国の冷凍食品市場において最大シェアを持つ食品企業を買収し、米国および欧州市場に対する販売拠点を確保したことは、これまで日本市場への販売を中心としてきた当社が水産物の世界市場に軸足を移しつつあること、本格的な多国籍化を志向していることの表れであると考えられた。当社以外にも海外に加工や流通の拠点を移しつつある企業が多く見られた。特に加工分野におけるアジア諸国への進出が目覚ましく、原料供給国、加工国、市場国という3国間での有機的な貿易構造が構築されつつあることが分かった。このように日本の水産物市場が世界市場との距離を縮めつつある一方で、国内漁業や水産加工業は厳しい競争下に晒されており、市場開放と貿易自由化には批判も多いことが明らかになった。 海外ではサケ養殖業を中心に水産系企業の合併や吸収が相次ぎ、世界市場への水産物供給(水産物貿易)は寡占化が進んでいることがわかった。北米における底魚漁業においても寡占化が進んでおり、大手が大きなシェアを持つに至っている。しかし一方では寡占化企業間での厳しい競争も発生しており、企業の整理と淘汰は更に進む傾向にある。小売りの大型化と呼応する形で、今後の水産物貿易は更に寡占化、大型化してゆくことが予想される。
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