2003 Fiscal Year Annual Research Report
EU硝酸塩指令の政策手法と実施状況、及び政策評価に関する経済学的研究
Project/Area Number |
15580200
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
田代 正一 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90231406)
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Keywords | EU(欧州連合) / 農業環境政策 / 硝酸塩汚染対策 / 適正な農業活動準則 |
Research Abstract |
EU硝酸塩指令のイギリスにおける実施状況を分析した。イギリスでは硝酸塩警戒地域(NVZ)において、農地に対する窒素投入を次のように制限していることを明らかにした。 1.窒素の投入禁止期間:NVZの農業者は夏期から冬期にかけての一定期間、農地に窒素を投入してはならない。投入禁止期間は窒素が化学肥料であるか有機質肥料(家畜ふん尿)であるかによって異なり、また窒素を投入する農地が耕地であるか草地であるかによっても異なる。まず化学肥料の場合は9月1日から翌年2月1日まで耕地に投入してはならず、9月15日から同2月1日まで草地に投入してはならない。次に有機質肥料の場合は8月1日から11月1日まで耕地に投入してはならず、9月1日から11月1日まで草地に投入してはならない。 2.農地に投入可能な窒素量:農業者がNVZ内の農地に投入できる窒素量は、肥料の種類および農地の利用形態によって次のように異なる。まず、化学肥料については耕地・草地ともに作物が要求する量を超えて投入してはならない。有機質肥料の場合は、耕地に投入できる窒素量は農場レベルか圃場レベルかで異なる。まず、農場全体について、耕地に投入可能な窒素量は年間210kg/ha(ただし2002年12月以降は170kg/ha)以下に制限される。草地については、耕地に比べて植物の生育期間が長く硝酸塩浸出の危険性も低いことを考慮して、最大250kg/haまで投入可能である。 個別の圃場レベルでは有機質肥料(窒素換算)の投入量は、「水質保護のための適正農業活動準則」にもとづき、年間250kg/ha以下に制限しなければならない。また各圃場ごとに有機質肥料として投入される窒素量は、作物が要求する水準以下でなければならない。
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