2004 Fiscal Year Annual Research Report
農業の生物多様性保全機能を活用した山村経済振興策に関する日中比較研究
Project/Area Number |
15580203
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
河合 明宣 放送大学, 教養学部, 助教授 (90195024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蘇 雲山 放送大学, 環境文化創造研究所, 主任研究員
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Keywords | 農業の多面的機能 / 中山間地域振興 / 生物多様性保全 / 野生動物の生息地 / 日本と中国のトキ保護 / 有機農業(生態農業) |
Research Abstract |
本研究は、トキ生息地である二次的自然(水田、里山)の生態環境をトキの生息が可能なレベルに維持するためには、いかなる農林業経営と地域振興策が必要であるかを、中国・洋県と日本・佐渡の双方における現地調査結果の比較を通して明らかにすることを目的としている。 4年計画の第2年度、初年度と同様、研究分担者である蘇雲山氏と合同で、野生トキ生息地である中国洋県及び国産種最後のトキ生息地であった佐渡で現地調査と資料収集を行った。また、トキが生息可能な二次的自然を数値化して把握すること、広域で類似する環境の存在を探るために、中国洋県と佐渡での土地利用、植生等のデータを基に衛星データを地図情報化(GIS)する作業を進めた。 (1)中国政府が推進する「生態農業」奨励政策に関して、トキ生息地である洋県の草バ村を調査した。減農薬と施肥などに関して所定の肥培管理方法に基づいて栽培し、政府の認証を受ける有機米栽培が始まった。この有機米栽培と減農薬梨栽培により農民所得の向上と環境保全型農業への転換が始まったことを明らかにして、研究論文を発表した。 (2)佐渡の野生トキの生息地保全運動を担った「新穂とき愛護会」の活動記録である「川上文書」の整理を進め、文書目録を作成した。中国のトキ保護の成功した要因として、地域住民をトキ保護活動に組み込んだ「社区共管」方式を紹介し、1960年代の佐渡における「新穂とき愛護会」の活動の再評価を試み、上記に論文にまとめた。 (3)昨年度に続いて、平成17年1月に佐渡調査を実施し、衛星写真のデジタル情報を利用してトキ生息環境を把握する作業を続けた。
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Research Products
(2 results)