2005 Fiscal Year Annual Research Report
農業の生物多様性保全機能を活用した山村経済振興策に関する日中比較研究
Project/Area Number |
15580203
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
河合 明宣 放送大学, 教養学部, 助教授 (90195024)
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Keywords | 環境調和型農林水産業 / 生態系修復・整備 / 水質汚濁・土壌汚染防止・浄化 / 農業経済学 / 国際協力 / 日本と中国のトキ保護 / 生物多様性保全 / 農業の多面的機能 |
Research Abstract |
本研究は、トキ生息地である二次的自然(水田、里山)の生態環境をトキの生息が可能なレベルに維持するためには、いかなる農林業経営と地域振興策が必要であるかを、中国・洋県と日本・佐渡の双方における現地調査結果の比較を通して明らかにすることを目的としている。 4年計画の第3年度で、中国と佐渡での調査と二つの研究報告会を実施した。研究協力者である蘇雲山氏は、平成17年11月12日から同月22日まで、中国洋県で1981年に野生トキを発見した元中国社会科学院劉氏から当時の中山間農村経済の事情、農業生態系等に関して長時間の聞き取りを行った。また当時のスライド等の資料を収集した。蘇氏は、18年2月に大型水鳥の個体増殖及び生息地修復で一歩先んじている兵庫県豊岡市・コウノトリ郷公園を訪ね、現場視察と県立大学の専門家と意見交換した。 平成17年6月18日さいたま市産業文化センターで放送大学埼玉学習センター主催の公開講座として「トキ保護を軸とした共生と循環の地域社会づくり」を開催し、1960年代に佐渡で生息地保護運動に携った須田中夫氏等の講演を中心にして議論した。 日本産トキ最後の生息地・佐渡市新穂において、平成17年12月に3日間冬季水田の生物調査(主に珪藻類)と衛星データによる水田生態系の地図上への図示作業を進める目的で地目等のデータ収集を行った。同時に、トキ交流会会館においてトキが生息しうる水田作りを始めた農家や、新潟大学の研究グループ等の集まりで中国トキの野生復帰について蘇氏が講演し、活発な意見交換を行った。 佐渡で野生トキの生息地保全運動を担った「新穂とき愛護会」の活動記録である「川上文書」の整理を進め、文書目録を作成した。これを印刷し『朱鷺の現在・過去・未来-朱鷺と生息地の保護資料集-』(第二号)として発行する(再校終了)。最終年度に向けて研究は収束する方向に向かっている。
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Research Products
(3 results)