2006 Fiscal Year Annual Research Report
農業の生物多様性保全機能を活用した山村経済振興策に関する日中比較研究
Project/Area Number |
15580203
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Research Institution | The University of the Air |
Principal Investigator |
河合 明宣 放送大学, 教養学部, 教授 (90195024)
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Keywords | 環境調和型農林水産業 / 生態系修復・整備 / 水質汚濁・土壌汚染防止・浄化 / 農業経済学 / 国際協力 / 日本と中国のトキ保護 / 生物多様性保全 / 農業の多面的機能 |
Research Abstract |
4年計画の最終年度で、中国と佐渡での調査の実施と文献目録の印刷を行った。 1中国:研究協力者・蘇雲山は、野生トキ生息地の中国洋県においてケージ内で繁殖したトキの放鳥の経過観察及び水田を含めた地域農業が省農薬・有機栽培化をどれほど達成したかについて現地調査を実施した。トキ生息地の省農薬・有機栽培のナシは健康食品ブームに支えられ差別化され2〜4割ほど高く販売されていることが確認された。 II佐渡 (1)2008年の放鳥に向けて、有機米(トキひかり米)栽培の取り組みは20ha弱まで広がった。不耕起・無農薬・冬季湛水田栽培技術により収量は安定してきている。佐渡市全体で認証を設け、減農薬・有機栽培農業を広める決定を行った。トキと共生する地域づくり・地域農業振興には行政との連携が不可欠である点は、中国と共通であることが分かった。 (2)佐渡野生トキの生息地保全運動を担った「新穂トキ愛護会」活動記録である「川上文書」の整理を終了し、文書目録・年表として印刷した。同会による1960年代における保護運動からの教訓は、徹底した生息地保護であった。これは中国におけるトキ増殖の背景と同じである。トキ保護と農業との共生関係が時期は異なるが両国での類似性が明らかにされた。 (3)研究協力者・野口憲一の協力を得て、地図情報化(GIS)を通して広域で類似する環境の存在を探るために、地上の土地利用・植生等及び有機栽培田での生き物の調査を実施した。これらデータを基に衛星データを地図情報化(GIS)する作業を継続して行った。トキが生息可能な二次的自然を現在では放棄されている棚田とそれらを結び付ける小河川・小川のネットワークとして把握し、それを地図に図示した。 (4)河合は佐渡で新穂トキ愛護会関係者のインタビューを実施し、「川上文書」と照合させ「新穂トキ愛護会」とは、行政と連携した地域全体での保護活動であった点を確認した。 〔研究協力者〕環境文化創造研究所・主席研究員:蘇雲山、中国の野生トキ保護体制及び農林業経営分析、中国語文献サーベイ。茨城県西農業共済組合・係長:野口憲一、衛星データ解析。
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Research Products
(2 results)