2003 Fiscal Year Annual Research Report
干拓堤防維持管理への性能設計導入に向けた提体の残留沈下とその予測法に関する研究
Project/Area Number |
15580215
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
東 孝寛 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (00181066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥山 浩樹 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (10208788)
大坪 政美 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (80112316)
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Keywords | 干拓堤防 / 有明粘土 / 性能設計 / 残留沈下 / 有限要素解析 |
Research Abstract |
有明海沿岸域の既設干拓堤防の残留沈下についての研究対象として,佐賀県杵島郡有明町の有明干拓堤防と熊本県玉名郡横島町の横島干拓堤防の2ヶ所を選び,堤防の沈下データや基礎地盤のボーリング調査データ,土質試験データを収集した。現在,データの整理・分析中であるが,同じ干拓堤防でも地盤条件によって沈下状況が大きく異なることや地盤沈下の影響もかなり大きいことを確認した。 また,干拓堤防の基礎地盤となっている沖積有明粘土層の粘着力c_u,ベーンせん断強度s_<uv>と有効土被り圧で圧密後の定体積一面せん強度τ_fの比較を行い,非排水せん断強度に及ぼす試料の乱れの影響について検討した。その結果,c_uとs_<uv>はほぼ一致すること,およびc_uとs_<uv>は乱れの影響が大きいほどτ_fより小さくなることが判明した。練返し有明粘土および不攪乱有明粘土(浅層部を除く)の圧縮指数C_cは,自然間隙比e_nに強く規定され,C_c-e_n関係はe_nのべき関数で比較的精度よく近似できることや,C_c-e_n関係は粘土分含有量の影響を受けることが明らかとなった。 さらに,練返し有明粘土試料のベーンせん断強度S_<uv>とフォールコーン貫入量dの関係は,動的なコーン貫入理論から予測されるS_<uv>-d関係の範囲より広範囲にわたり,試料採取地点ごとに特徴があることが分かった。一方,不攪乱有明粘土のS_<uv>-d関係から求まるコーン係数は0.197となり,動的なコーン貫入理論における表面が粗い場合のコーン係数0.25より小さくなった。有明海東岸域の不攪乱有明粘土についての定ひずみ速度載荷圧密試験からは,圧密降伏応力p_cとひずみ速度の間に固有な関係が見い出せなかったが,定ひずみ速度載荷圧密試験から求まるp_cは,試験に採用したひずみ速度の範囲(0.01〜0.5%/min)では,段階載荷による圧密試験から求まるp_cより大であった。 他方,微小変形解析用弾塑性有限要素解析プログラムを使用して,二次圧密に起因する有明粘土地盤上の排水樋門取付堤防の残留沈下についての解析を行い,二次圧密を規定するパラメーター(入力定数)の違いが解析結果へ及ぼす影響やパラメーターの決定方法について検討した。
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