2004 Fiscal Year Annual Research Report
干択堤防維持管理への性能設計導入に向けた堤体の残留沈下とその予測法に関する研究
Project/Area Number |
15580215
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
東 孝寛 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (00181066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坪 政美 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (80112316)
肥山 浩樹 国立大学法人, 鹿児島大学・農学部, 助教授 (10208788)
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Keywords | 干拓堤防 / 有明粘土 / 強度・変形特性 / 残留沈下 / 地盤沈下 / 有限要素法 |
Research Abstract |
既存干拓堤防である佐賀県の有明干拓堤防では,堤防前面部への消波ブロック設置や堤防嵩上げ盛土,地盤沈下(地下水の大量汲み上げに起因する沈下)のため,かなりの残留沈下が生じていることを確認した。特に,平成6年度の渇水時(7〜9月)には最大9cmにも及ぶ地盤沈下が発生し,沈下量は南西部の堤防より北東部の堤防の方が大きく,かなりの地域差があることが分かった。佐賀県の地盤沈下観測井データの分析によれば,有明干拓堤防の位置する佐賀県白石地区の地盤沈下は,地下水位が初期の高さ(地表面付近)まで回復しない限り,沖積(有明)粘土層の圧密により今後しばらくは継続する可能性があることが判明した。これらのことから,有明干拓堤防の維持管理においては,地盤沈下の影響評価の面からも継続的な動態観測の重要性が示唆された。 また,既存干拓堤防前面の処女地盤および堤防直下地盤の有明粘土の強度・圧縮特性について実験的に検討した。その結果,堤防直下の有明粘土層の非排水せん断強度の増加量は,一面せん断試験から求まる強度増加率と堤体荷重から予測される値とほぼ一致した。堤防直下の有明粘土のボシュレフ(Hvorslev)の強度定数と非可逆比は,一般的な有明粘土の値の範囲であった。段階戴荷による圧密試験から求まる圧密降伏応力は有効土被り圧とほぼ一致し,定ひずみ速度戴荷による圧密試験から求まるそれよりかなり小さくなった。ひずみ速度が大きい方が圧密降伏応力が大きくなる傾向は把握できたが,明瞭な圧密降伏応力とひずみ速度の対数値との線形性は確認できなかった。 さらに,既存の残留沈下予測法の適用上の問題点について検討を行うとともに,前年度に引き続いて,多次元的な挙動予測が可能な有限要素法(FEM)による弾粘塑性圧密変形解析手法において必要な入力パラメーターの決定方法についての検討を行った。
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Research Products
(1 results)