2004 Fiscal Year Annual Research Report
浮遊多極放電を用いた極小電力による生鮮農作物の輸送用保存庫の開発
Project/Area Number |
15580220
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
長澤 武 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (10118440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 光政 宇都宮大学, 工学部, 教授 (40091706)
宇田 靖 宇都宮大学, 農学部, 教授 (80091940)
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Keywords | 浮遊多電極 / 酢酸エステル / OHラジカル / エチレン除去 / 青カビの滅菌 / 小電力 |
Research Abstract |
本研究室で開発したマルチ型浮遊多電極装置(各々の浮遊多電極はそれぞれ独立のパルス電源に接続され,マルチ型に配置した装置)を用いて、実験的に得られた最適条件:パルス電圧(最外周の電極と中心電極間の電圧:250V,周波数:500Hz)を印加し、この装置を生鮮食物保存用の大型(1.5坪、高さ2m)保存庫に設置し、食物(特に果物)が発生するエチレンガス(熟成作用を持つ。)の除去効果を調べ、装置の実用性を評価した。 その結果、 1.バナナ、リンゴ、メロン等から発生するエチレンガスは除去できるが、梅が発生するエチレンガスやボンベの純エチレンガスは除去できないことが判明した。両者の違いについて、前者はエチレンガスとともに酢酸エステルを発生するが、後者はエステル成分が含まれないことにある。 そこで、エチレンを除去する方法として、電極近傍の強電界で発生した電子が酢酸エステルからOH成分を解離してOHラジカルを生成する。OHラジカルがエチレンに作用してエチレンを改質すると考えた。これらの結果から、この装置は酢酸エステルを発生する食物には極めて有効であり、また、極小電力で働くことから実用的であることが確認できた。 2.上述の結果から、この装置の生花(エチレンを発生する。)への適応性について検討した。この装置は、欠点として酢酸エステルが必要であることから万能型でない。そこで、水蒸気に酢酸を少量加えて純ガスについて実験を行なった。エチレンの除去効果は顕著であった。しかし、酢酸のにおいが強く、実用的でないと判定した。 3,庫内は高湿度(約90%)であり,カビが発生する。この装置に電圧を印加しただけではカビの滅菌効果は少ないが,酢酸エステルを加えると,青カビの滅菌効果が示された。このことは,OHラジカルが生成され,強い酸化作用で滅菌できたと判定した。 以上の実験結果から,マルチ型浮遊多電極装置を用いると,小電力でエチレンの改質除去及び殺菌が可能であり,また,パルス電圧を用いた小電力で作用できることから,輸送用に適し,実用的であることが明確になった。
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Research Products
(5 results)