2003 Fiscal Year Annual Research Report
豚精液新規リラキシン様蛋白の精子における受精能獲得誘起とシグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
15580247
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
高坂 哲也 静岡大学, 農学部, 教授 (10186611)
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Keywords | リラキシン / 精子 / 受精能獲得 / CTC / cAMP / ブタ |
Research Abstract |
1.精液RXN様蛋白のブタ精子における受精能獲得反応の誘起と至適濃度の決定 RXN様蛋白により誘起されるブタ精子の受精能獲得状況をクロロテトラサイクリン蛍光染色法(CTC法)を用いて解析を行った。まず、成熟雄ブタの精巣上体尾部から空気圧法で採取した射精前の成熟精子を実験に用い、mBO培養液で洗浄・希釈した後、1億/mlの精子濃度に再懸濁し、各種濃度(0-200μg/ml)のRXN様蛋白を添加した。炭酸ガス培養器(申請備品)で37℃で4時間インキュベーションし、1時間毎にCTC蛍光染色を施し、受精能獲得および先体反応の誘起率を蛍光顕微鏡下(現有備晶)で測定した。その結果、生存精子率は4時間のインキュベーションの間に平均約80%から70%までやや低下したが、添加したRXN様蛋白の濃度間の差異は認められなかった。一方、CTCの解析では、添加したRXN様蛋白の濃度に比例して、インキュベーション2時間までに、受精能未獲得型精子が急減する一方、受精能獲得型精子の比較的緩やか増加と、先体反応型精子の急増が見出され、この変化は4時間まで継続して推移することが究明できた。さらに、RXN様蛋白によるその効果は、150μg/mlでプラトーに達することが明らかとなり、RXN様蛋白の至適濃度が判明した。 2.精液RXN様蛋白により誘起されるブタ精子受精能獲得過程における細胞内シグナル伝達機構の解明 1)ブタ精子細胞内cAMPの動態解析 ブタ精巣上体尾部精子をmBO培養液で洗浄希釈し、1億/mlの精子濃度に懸濁した後、上記で決定したブタ精子の受精能獲得を誘起する至適濃度のRXN様蛋白(150μg/ml)を添加して、炭酸ガス培養器(申請備品)で37℃で4時間インキュベーションし、精子細胞内cAMPの濃度変化を抗cAMP抗体を用いてELISA法で経時的に測定した。その結果、精子細胞内cAMPが著しく上昇し、受精能獲得が誘起されることが分かり、細胞内シグナル伝達機構解明の大きな糸口を見出す知見を得た。
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