2003 Fiscal Year Annual Research Report
多分化能を有する組織幹細胞の同定・分離と体細胞クローンマウス作製への応用
Project/Area Number |
15580251
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
三谷 匡 近畿大学, 先端技術総合研究所, 講師 (10322265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 和也 近畿大学, 生物理工学部, 助教授 (20298938)
細井 美彦 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (70192739)
佐伯 和弘 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (10298937)
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Keywords | 核移植 / 体細胞クローン / 羊膜細胞 / ES細胞 / 単為発生胚 / 主要組織適合性抗原 / フローサイトメトリー / IFN-γ |
Research Abstract |
本研究では、有用遺伝子改変食資源動物を創出する有効な作製システムの開発を目的としている。そのための基盤研究として、マウスをモデルとして様々な幹細胞集団を同定・分離し、体細胞クローン動物作製に適用しうるドナー細胞の探索と評価を行なうとともに、クローン胚ならびにクローン個体の正常性についてもエピジェネティックな視点から、クロマチンの修飾状態等についての比較検討を進めている。これらに関して本年度は以下のような研究を行った。 (1)幹細胞の分離・同定 体細胞クローン胚作製に供するドナー細胞を探索することを目的として、マウス胎仔ならびに成体からの候補細胞の分離・培養を進めている。まず、我々が胎仔治療法の開発で用いた多分化能(肝細胞様、神経細胞様)を示す羊膜細胞を胎齢17日の妊娠メスより分離・培養し、細胞特性の評価を行った。その結果、ヒトと同様に主要組織適合性抗原クラスIおよびクラスIIの発現が低いこと、さらにIFN-γによる発現誘導も抑制されていることがフローサイトメトリーにより明らかとなった。また、RT-PCRによりいくつかの肝細胞特異的な遺伝子群の発現が認められた。 (2)クローン胚からのES細胞の樹立 GFPトランスジェニックマウスより羊膜細胞を分離・培養し、核移植後発生した胚盤胞期胚よりES細胞の樹立を行った。その結果、ES細胞様のコロニーを形成し、アルカリ性フォスファターゼ活性、Oct4、SSEA1抗原等の未分化マーカーに対し陽性を示す細胞株が樹立された。また、単為発生胚由来のES細胞の樹立を試み、同様に未分化マーカー陽性を示し、in vitroならびにin vivoでの分化誘導能を有する細胞株の樹立に成功した。 (3)体細胞クローン動物の作製 上記(1)および(2)で分離・培養された細胞を用いたクローン動物作製システムの構築を目的として、胎仔線維芽細胞、卵丘細胞、ES細胞、羊膜細胞等を用いたクローンマウス個体の作出を進めている。現在、卵丘細胞を用いたクローンマウス個体の作出に成功し、その他の細胞に関しても体細胞クローン胚の胚移植実験を進めている。
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Research Products
(1 results)