2003 Fiscal Year Annual Research Report
血栓形成の動物種差に関わる血小板コラーゲンレセプターのシグナル伝達系に関する研究
Project/Area Number |
15580261
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
伊藤 勝昭 宮崎大学, 農学部, 教授 (70136795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸井 将明 久留米大学, 分子生命科学研究所, 教授 (00049074)
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Keywords | コラーゲン / 動物種差 / 血小板 / ADP / トロンボキサンA_2 / 凝集 |
Research Abstract |
コラーゲンによる血小板凝集は出血に対する止血機構で最も重要なイベントである。コラーゲンによる血小板活性化には大きな動物種差があり、ヒト血小板の凝集機構はかなり明らかにされているが、他の動物についての知見はわずかしかない。コラーゲンによる血小板活性化はコラーゲン単独で起こるものではなく、コラーゲンが内因性ADPを放出させたり、アラキドン酸カスケードを活性化して、トロンボキサンA_2(TXA_2)を放出し、それらが2次的に凝集を強めるよう働いているのでADPやTXA_2の関与に動物種差があるかについて検討した。セロトニン(5-HT)はADPと同じく濃染顆粒に貯蔵されて、放出されるので[^3H]5-HTを血小板に負荷して、コラーゲンによる[^3H]5-HT放出量をADP放出の指標として測定したところ、低濃度ではウシ血小板からの[^3H]5-HT放出はヒト、ラット血小板に比べて低かった。しかし、外因性ADPによる凝集はウシで強かったことから、ウシ血小板ではADP放出は少なくてもADP感受性が高いことで補償されていることが分かった。一方、ヒト血小板はADP放出量が大きいにもかかわらず、ADP感受性が低く、ラット血小板は放出量はヒトと同程度でADP感受性が高いため、結果的にコラーゲン凝集の内因性ADP依存度はラット>ウシ≧ヒトの順となった。 次に、コラーゲン凝集のTXA_2依存度をTXA_2合成を阻害するアスピリンを用いて検討したところヒトとラット血小板はTXA_2の関与が大きく、ウシ血小板はTXA_2にほとんど依存しなかった。そこでヒトとウシの血小板でTXA_2放出を比較するためTXA_2の代謝物TXB_2産生量を測定した。ヒトと比べて量的には少ないもののウシ血小板はコラーゲンによってTXB_2放出を起こした。外因性にTXA_2のアナログU46619を投与するとヒト血小板では凝集を起こしたが、ウシ血小板では起こさなかった。このことからウシ血小板にはTXA_2のレセプターがないか、あるいはあってもレセプターに連結したシグナル伝達系に欠陥があることが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Moroi, M., Mizuguchi, J., Kawashima, S., Nagamatsu, M., Miura, Y., Nakagaki, T., Ito, K., Jung, S.M.: "A new monoclonal antibody, mAb 204-11, that influences the binding of platelet GPVI to fibrous collagen"Thrombosis Haemostasis. 89(6). 996-1003 (2003)