2003 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子解析による鶏肉のカンピロバクター汚染経路の解明
Project/Area Number |
15580275
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中馬 猛久 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90201631)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 嘉六 鹿児島大学, 農学部, 教授 (00136847)
|
Keywords | カンピロバクター / ブロイラー / 薬剤耐性 / 遺伝子型別 / 食鳥処理場 |
Research Abstract |
本年度は、市販鶏肉のカンピロバクターによる汚染状況、薬剤耐性菌の浸透状況を調査し、菌株の遺伝子型別を試みて食鳥処理場における追跡調査を行った。 鹿児島市内の、大型店、専門店を含む計11店舗からささみと手羽先を、1店舗から手羽先を、各店舗6クール計138検体を購入した。検出限界値50CFU/gでは、手羽先、ささみともすべて陰性であった。検出限界値0.01CFU/gでは、分離率は59.4%であった。これより市販鶏肉の多くがカンピロバクターに汚染されており、汚染菌数は50CFU/gから0.01CFU/gの間と少量であることが明らかになった。分離菌株の7薬剤に対する薬剤感受性試験をマイクロプレートを用いた微量希釈法で実施した結果、分離株の61.0%が、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、テトラサイクリン、エリスロマイシンいずれかの薬剤に耐性を示した。このことから、鶏肉を汚染しているカンピロバクターに耐性株がかなりの頻度で含まれていると考えられた。 次に、食鳥処理場において、2鶏群ずつ6回、計12鶏群を対象に、各鶏群について盲腸内容物16検体と解体後の手羽先3検体、ささみ3検体を採材した。解体前に採取した盲腸内容物からCampylobacterが分離されなかったにも関わらず、同鶏群由来の解体後の部分肉から菌が分離された例が2鶏群みられた。また盲腸内容物と部分肉から同種の菌が分離されても、盲腸内容物由来株と部分肉由来株で薬剤感受性パターンが異なった例が3鶏群みられた。さらに同鶏群由来の盲腸内容物と部分肉からの分離菌株の遺伝子パターンを比較した結果、盲腸内容物と手羽先あるいはささみで、遺伝子パターンの異なる例が2鶏群みられた。これらの結果より食鳥処理過程で、汚染鶏群の糞便から、他の鶏群の部分肉への汚染が起こっていることが示唆された。
|