2004 Fiscal Year Annual Research Report
鶏のSalmonella Enteritidis感染時にみられる鞭毛抗体非産生機序
Project/Area Number |
15580276
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
馬場 栄一郎 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (70081594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹井 和美 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (70211935)
谷 浩行 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (00305658)
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Keywords | サルモネラ / Salmonella Enteritidis / 鞭毛 / 抗体調査 / 鶏 / 卵 / ワクチン / 食中毒 |
Research Abstract |
前年度において、いろいろなルートでSalmonella Enteritidis (SE)抗原と接触した鶏の生体内における菌体または鞭毛抗体の発現状態を比較することにより、SE菌体抗体は、いずれのルートでも産生されるのに対して、SE鞭毛抗体は、腸管を経由しないで生体内に抗原が導入された場合にのみ産生され、腸管を経由してSEに感染した場合には産生されにくいことが明らかなった。この抗体産生性の違いを利用すれば、SE不活化ワクチンの皮下または筋肉内接種による抗体と、SE自然感染(主に経口)による抗体を区別できると考え、養鶏場のSE汚染状況を把握することを目的として下記の実験を行った。 全国197農場で生産された、市販パック卵をそれぞれ40個ずつ購入し、各卵から採取した卵黄について、SE菌体特異抗体およびSE鞭毛特異抗体の保有状況を、前年度までに確立した2種類のELISA法を用いて検査した。197農場のうち33農場(17%)の材料からSE菌体特異抗体陽性・SE鞭毛特異抗体陰性の検体が発見され、これらの農場についてはSEに汚染しているか、あるいは過去に接触した可能性が示唆された。一方、両抗体とも陽性の検体が発見された62農場(31%)ではSEワクチンが接種されていたと考えられる。また、両抗体とも検出されなかった検体、すなわちSEの汚染がなかったと考えられるのは24農場(12%)であった。 以上の結果から、全国の農場におけるSE汚染状況は「広く浅く」ではなく「散在・特定型」であることが伺える。同時に、SEワクチンを用いた農場自身による対策も進んでいることが明らかになった。これまで、我が国における殻付き卵のSE菌検出成績では0.03%弱といわれてきたが、農場単位での汚染実態は不明瞭であった。今回の成績は抗体検査ではあるもののSEと鶏の接触率は意外に高いことを示している。 結果はすでに米国の学術雑誌に投稿し、現在コメントを待っている。
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Research Products
(2 results)