2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580282
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
高鳥 浩介 国立医薬品食品衛生研究所, 衛生微生物部, 部長 (50270624)
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Keywords | ズーノーシス / 住環境 / 多様化 / 日和見感染 / 病原性真菌 / 深在性真菌症 / 皮膚糸状菌 / 病原性因子 |
Research Abstract |
住環境にみる真菌性ズーノーシスおよび原因真菌について、公衆衛生学的観点から菌学・生態学、疫学、病態的研究を行い、真菌症の多様化を確認した。特にズーノーシス症例が従来の報告と比較してどのように変化しているかを重点的に調査研究した。 (1)住環境にみる真菌検索:動物の体表に分布し、深在性真菌症の原因となり得る真菌を対象に、住環境における分布を調べたところ、日和見感染菌として注目される接合菌(Rhizopus、Absidia、Mucor、Mortierella)や黒色真菌(Exophiala、Aureobasidium)は湿性環境である浴室、洗面所、台所の排水口周辺などから高頻度に検出された。今後はその発生源を追求する予定である。Emericellaは乾燥環境であるダスト、タタミ、押し入れベニヤ板などから少量検出された。またCandidaの多くは動物やヒトの体表、粘膜などの生体から分離されたが、住環境では脱衣所、浴室から検出された。 (2)真菌性ズーノニシスの多様化に関する研究:臨床獣医師の協力により様々な真菌性ズーノーシス症例の病巣材料より原因真菌を分離、同定した。症例数として最も多かったのは皮膚率状菌症であったが、その他にもAspergillus症、Alternaria症、Fusarium症、Candida症、接合菌症など種々の真菌による感染症がみられた。このように、多種の原因菌による深在性真菌症が確認されたことから、身近にみられる真菌性ズーノーシスの多様化が示唆された。 (3)分離株の病原性因子特定に関する研究:真菌性ズーノーシスの原因真菌の病原因子を、生物活性、特に分泌酵素との関連から検討した。日和見感染菌であるEmericella nidulans、Aspergillus fumigatus、A.terreus、Scopulariopsisでは蛋白分解酵素産生能が確認された。また、接合菌、Scedosporium、Emericella、Aspergillus fumigatusにおいては溶血性を確認した。今後は、これらの生物活性と起病性との関係についてさらに検討を進めるつもりである。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Ayako Sakai, Yutaka Kikuchi, Sasashi Muroi, Tohru Masui, Chie Furuhata, Eriko Uchida, Kosuke Takatori, Ken-ichi Tanamoto: "Overexpression of NP95 mRNA by tumor promotes in the promotion phase of a two-stage BALB/3T3 cell transformation assay"Biol.Pharm.Bull.. 26・3. 347-351 (2003)
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[Publications] 斎藤貞子, 前田直之, 和田正夫, 井上幸次, 光永サチ子, 濱野光, 高鳥浩介: "ソフトコンタクトレンズに増殖しする真菌の低真空走査型顕微鏡による観察"日コレ誌. 45. 28-32 (2003)
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[Publications] 谷口正実, 竹内保雄, 斎藤明美, 安枝浩二, 信太隆夫, 秋山一男, 高鳥浩介: "Aspergillus restrictusその抗原としての意義"Allergy Update. 15・1. 8-9 (2003)
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[Publications] 土肥友恵, 田中辰明, 李憲俊, 相原真紀, 高鳥浩介: "住環境由来真菌の建築資材等基質への付着および初期発育"防菌防黴. 31・6. 319-322 (2003)
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[Publications] Jong Chul Park.Min Sub Lee, Dong Hee Lee, Bong Joo Park, Dong Wook Han, Masakazu Uzawa, Kosuke Takatori: "Inactivation of bacteria in seawater by low-amperage electric current"Appl.Environment.Microbiol.. 69・4. 2405-2408 (2003)
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[Publications] 高鳥浩介, 小菅旬子: "獣医領域からみた人獣共通真菌症の問題点"真菌誌. 44. 249-251 (2003)
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[Publications] 高鳥浩介, 相原真紀: "家庭環境と防菌防黴"防菌防黴. 31. 663-667 (2003)
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[Publications] 高鳥浩介, 相原真紀, 村松芳多子: "微生物汚染についての考え方"IBEC. 24. 5-9 (2003)
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[Publications] 高鳥浩介, 相原真紀: "細菌・真菌の計測と安全性評価-計測の必要性と安全性の理解のために-"BE建築設備. 55・2. 34-40 (2004)
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[Publications] 高鳥浩介, 相原真紀: "病原性真菌の今日的意味 4.真菌とアレルギー"化学療法の領域. 20・3. 351-355 (2004)