2004 Fiscal Year Annual Research Report
犬におけるワクチン接種後のアナフィラキシーの予防対策に関する研究
Project/Area Number |
15580283
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Research Institution | RIKEN THE INSTITUTE OF PHYSICAL AND CHEMICAL RESEARCH |
Principal Investigator |
阪口 雅弘 独立行政法人理化学研究所, アレルギー制御研究チーム, チームリーダー (20170590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻本 元 国立大学法人東京大学, 大学院・農学生命科学科, 教授 (60163804)
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Keywords | イヌ / アナフィラキシー / ウシ血清アルブミン / IgE / アレルゲン / ワクチン |
Research Abstract |
ワクチン接種後にアンフィラキシーなどの副反応を起こす犬が報告されている。平成15年度の研究実績報告書で、我々はワクチンに含まれる牛胎児血清がアレルギー性副反応の原因で、その主な原因タンパクが牛血清アルブミン(BSA)であることを明らかにした。初めてワクチンを接種する犬においてもこのような副反応が起こることや犬の食物アレルギーの原因食物として牛肉が最も多く報告されている。これらの理由からワクチンを接種前に犬が牛肉等のアレルギーに感作されていた可能性があると考え、牛肉アレルギーの犬の牛肉成分中のアレルゲン成分を解析した。 本研究において牛肉アレルギーと確定診断した犬、および臨床的に牛肉アレルギーが強く疑われる犬5頭の血清を用いた。陰性対照として健常犬5頭の血清を用いた。牛肉アレルギーの犬5頭における牛肉特異的IgE値(labolatory unit[LU])(mean±SD:21.4±12.9LU)は、陰性対照(0LU)に比べ有意に高かった(P<0.05)。Immunoblot法では、牛肉アレルギーの犬3頭において67-kDaに陽性バンドが認められ、2頭において67-kDaと55-kDaに陽性バンド認められた。陰性対照の犬では陽性バンドは認められなかった。精製タンパクを用いたimmunoblot法により、67-kDaのタンパク質はBSA、55-kDaのタンパク質はbovine gamma-globulin(BGG)であることが明らかとなった。 BSAおよびBGGは、牛肉アレルギーの犬における牛肉成分中のアレルゲンであることが同定された。市販の犬用ワクチン中には多量のBSAおよびBGGが含まれていることから、本研究結果はワクチン接種後アレルギー反応と牛肉アレルギーの関連性を示唆することが明らかになった。
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