2003 Fiscal Year Annual Research Report
子宮での細胞増殖因子発現異常検出によるリピートブリーダー牛の診断および治療法開発
Project/Area Number |
15580284
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
片桐 成二 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (00292061)
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Keywords | リピートブリーダー牛 / 不妊症 / 子宮内膜生検 / 上皮成長因子 / CIDR / エストロジェン製剤 / 妊娠 |
Research Abstract |
不妊牛の中でもその原因が特定できず,有効な対策を講じることが出来ないリピートブリーダー牛の不妊原因の鑑別法と治療法の確立を目指し,上皮成長因子(EGF)の子宮内膜濃度を調べることによってリビートブリーダー牛の中から子宮機能異常により妊娠しないサブグループを選別することを試みた。まず,乳牛の発情周期中の子宮内膜EGF濃度を調べ,発情後2-4および13-14日目にビークを示す特徴的な変化を明らかにした。ついで,子宮内膜材料採取後2回以内の授精により妊娠した正常牛50頭を用いて発情後3,7およぴ14日目の子宮内膜EGF濃度の正常範囲を決定し,この3日間の子宮内膜濃度とその後の受胎成績を調べて,通常の検査では不妊原因を特定できなかった不妊牛の約70%で3あるいは14日目のEGF濃度が低下していることを明らかにした。そこで,子宮内膜EGF濃度の低下が認められた計180頭の乳牛を用い2回の治療試験を実施したところ,膣内留置型プロジェステロン徐放剤に1mgの安息香酸エストラジオール(E_2)製剤とプロスタグランジン(PG)F_<2α>製剤を組み合わせた治療法により約40%の受胎率を得ることができた。また,E_2製剤の投与量を5mgに増加すると,子宮内膜EGF濃度の正常化率が向上し(1および5mg投与群でそれぞれ30および70%),受胎率も約70%に向上した。特に,EGF濃度が正常化した牛の受胎率は両群ともに約90%と極めて高い数値であった。以上の結果より,子宮内膜EGF濃度測定により特定の原因をもつ不妊牛のサブグループを選別できることが示され,このタイプの不妊牛には膣内留置型プロジェステロン徐放剤にE_2製剤とPGF_<2α>製剤を組み合わせた治療法が有効であることが示された。また,E_2製剤の投与量は乳用牛における通常量(0.5〜1mg)の5〜10倍に当たる5mgの投与が効果的であることが分かった。
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Research Products
(1 results)