2004 Fiscal Year Annual Research Report
子宮での細胞増殖因子発現異常検出によるリピートブリーダー牛の診断および治療法開発
Project/Area Number |
15580284
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
片桐 成二 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (00292061)
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Keywords | 増殖因子 / ステロイドホルモン / 乳用牛 / 受精卵移植 / 子宮内膜 |
Research Abstract |
子宮内膜の上皮成長因子(EGF)発現異常と受胎性の関係を明らかにするために以下の2点を検討した。 1)乳用牛におけるEGFおよびステロイドレセプター濃度変化の周期性回復時期 乳用牛の卵巣周期の回復と子宮内膜でのEGF発現およびエストロジェンレセプター濃度の周期性回復の関係を調べた。その結果、分娩後120日以内に受胎した正常牛(51頭)では卵巣周期の回復に伴いEGF発現の周期性も回復するが、リピートブリーディングを示した牛(22頭)では正常な黄体期が回復した後もEGF発現の周期性が回復しないことが分かった。エストロジェンレセプターの発現には、両者間で差異はみられなかった。以上の結果より、卵巣周期回復後授精再開前に子宮内膜EGF濃度を調べることにより、授精再開後にリピートブリーディングを示す牛を摘発できることが示された。また、分娩後のEGF発現の回復時期は調査した21戸の農場間で大きく異なり(平均48〜88日)、農家毎の授精再開適期を決める指標となる可能性が示された。 2)EGF発現およびエストロジェンレセプター濃度と胚移植後の受胎性の関係 胚移植用レシピエント牛(120頭)の子宮内膜EGF濃度(発情後3日目)と胚移植(同7日目)による受胎率の関係を調べたところ、EGF濃度が正常範囲よりも低い牛では正常牛に比べ受胎率が低かった(15 vs. 76%、P<0.01)。全体の受胎率(59%)は、子宮内膜の生検による材料採取を行わないで胚を移植した場合(64%)と同等であり、内膜採取による受胎率への影響は認められなかった。また、EGF濃度正常牛だけの受胎率は、通常の受胎率に比べて高かった(P<0.05)。 以上の結果より、子宮内膜EGF発現は牛の受胎性と密接に関係しており、リピートブリーディングの予測および受精卵レシピエント牛の選抜指標となることが示された。
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