2005 Fiscal Year Annual Research Report
子宮での細胞増殖因子発現異常検出によるリピートブリーダー牛の診断および治療法開発
Project/Area Number |
15580284
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
片桐 成二 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (00292061)
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Keywords | 臨床繁殖学 / 乳用牛 / 増殖因子 / 子宮 / 生検 / 内分泌 |
Research Abstract |
1.子宮内膜EGF濃度測定によるリピートブリーダー牛の診断法を野外応用するため,子宮内膜の代替となる診断材料を検索するとともに,測定材料の前処理法簡易化を検討した。前者については,子宮内膜生検材料と腟円蓋部背側から採取した腟粘膜材料のEGF濃度(ng EGF/mg蛋白)の間に強い相関のあることを明らかにし,採取が容易で特殊な器具を必要としない腟粘膜材料を用いたリピートブリーダー牛の診断を可能とした。後者については,市販のC18カートリッジを用いた測定用試料調整法の簡素化を検討した。その結果,子宮内膜生検材料および腟粘膜材料からそれぞれ1および0.1M酢酸を用いて抽出した蛋白をC18カートリッジに充填し,50%メタノールにより溶出した材料を用いてEGF濃度測定を行う測定系を開発した。これにより,ゲルろ過,凍結乾燥および再溶解とステップが多く時間を要した(1.5日/50サンプル)試料調整法を,大幅に簡素化し所要時間を短縮(3時間/50サンプル)することに成功した。 2.分娩後子宮内膜EGF濃度変化の周期性が回復する時期とその異常が生じる原因を明らかにするため,分娩前後の飼養管理および周産期疾病の有無と子宮内膜のEGF濃度変化回復過程の関係を調べた。その結果,EGF濃度変化の回復時期は分娩後約40日目であり,子宮修復前に黄体期がみられた個体,分娩後に短い周期で発情・排卵を繰り返した個体および分娩後の子宮修復が遅れた個体でEGF発現異常の頻度の高いことが分かった。 3.胚移植レシピエント牛の子宮内膜EGF濃度と胚移植後の受胎率の関係を調べた。その結果,発情後3日目の子宮内膜EGF濃度が正常値を下回った個体の受胎率(22%)は正常値を示した個体(71%)に比べ有意に低下することが示され,EGF濃度の低いレシピエント牛を排除することにより胚移植の受胎率の向上することが示された。
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