2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580286
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 亮平 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (80172708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 伸雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60107414)
桑原 正貴 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30205273)
大野 耕一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90294660)
望月 学 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90261958)
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Keywords | コルチゾール / 疼痛 / 非ステロイド性抗炎症薬 / オピオイド / カルプロフェン / フェンタニル / VAS / 侵害刺激 |
Research Abstract |
平成15年度の検討で、血中ACTHおよびコルチゾール濃度の変化は、全身麻酔下での侵害刺激の程度を十分反映していることが明らかとなった。そこで今年度は、犬手術症例に鎮痛薬を投与した場合の影響から疼痛の評価法としての有用性を検討した。また、動物の行動上の変化から評価するvisual analog scale(VAS)法との比較も行った。 鎮痛薬としては非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であるカルプロフェンとオピオイドであるフェンタニルを用いた。いずれも術前に投与を行い、作用時間の短いフェンタニルは術中・術後も持続投与した。なお実験に先立ち副作用として腎不全、血小板凝集抑制、胃腸障害の懸念のあるカルプロフェンについては、ビーグル犬を用いて検討を行い、術前に投与しても一定の条件を満たせばこれらの問題が生じる可能性は低いことを確認した。その結果様々な手術において、カルプロフェンを投与した群とフェンタニルを投与した群のいずれにおいても、手術中は手術刺激に応じてコルチゾール値が同様なレベルで変化した。しかしその程度は、前年度で得られた鎮痛薬を投与していない群と比較すると明らかに小さく、血中コルチゾール値は、侵害刺激あるいは鎮痛効果のよい指標となることが明らかとなった。さらに、痛みによる行動上の変化が観察可能である覚醒後の疼痛の程度について、血中コルチゾール値とVAS法の両者から評価した。その結果両群とも、コルチゾール値は覚醒後上昇するものの、その程度はあまり大きくなく、またVASによる評価結果と非常によく一致した変化を示した。このことから、血中コルチゾール値の測定は、動物における痛みの客観的評価のひとつとなりうると考えられた。
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