2003 Fiscal Year Annual Research Report
抗体軽鎖遺伝子発現シフト現象を利用したヒト型抗体酵素創製系の確立
Project/Area Number |
15580306
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
立花 宏文 九州大学, 農学研究院生物機能科学部門, 助教授 (70236545)
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Keywords | ヒト抗体 / 抗体酵素 / 遺伝子組み換え / caffeine / 軽鎖 / PARP |
Research Abstract |
本研究は独自に見いだしたヒト抗体遺伝子発現系を利用して、ヒト型抗体酵素を効率的に取得する系の構築を目指している。そこで本年度は、抗体軽鎖遺伝子の組み換え誘導効率を増大させるための細胞培養系の構築を検討した。我々はこれまでの研究において、ヒト型抗体をin vitroで自由に発現させる細胞系の構築を目指し、抗体軽鎖遺伝子の組み換え発現をヒト抗体産生細胞株で誘導させること(Light chain shifting : LCS)が可能であることを示してきた。また、caffeineに強力なLCS誘導活性であることが見出している。caffeineは様々な生理作用を有することが知られており、その一つにpoly(ADP)-ribose polymerase (PARP)阻害作用がある。そこで、このPARP阻害作用とLCS誘導との関係について検討した。ヒト抗体産生細胞株をPARP特異的阻害剤である4-hydroxyquinazoline(4HQ)で処理した結果、caffeineと同様にLCSが誘導されることが明らかとなった。抗体遺伝子の組換え誘導は組換え部位におけるDNA切断によって開始される。このDNAの切断には、組換え酵素RAG-1,RAG-2および抗体遺伝子座における胚型転写物(GT)発現が関与していることから、これらの発現が抗体軽鎖遺伝子の組換えを制御しているとされている。そこで、RAG-1,2およびGTの発現に対する4HQの影響を検討した結果、RAG-1,2の発現およびその局在に変化は認められず、またGT発現にも変化は認められなかった。以上の結果より、PARP阻害剤は軽鎖遺伝子の二次的な組換えの誘導に必須とされてきたこれら以外の因子に作用していることが示唆された。そこで別の原因を検討した結果、組み換え誘導部位におけるヒストンアセチル化の誘導が確認された。
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[Publications] 浪崎博史, 立花宏文, 坂元隆一, 山田耕路: "カフェインの新たな機能性:ヒストンアセチル化誘導を介したヒト抗体軽鎖遺伝子発現の制御"日本農芸化学会誌. 223 (2003)