2004 Fiscal Year Annual Research Report
モレキュラーイプリンティングポリマーによる不斉反応制御に関する研究
Project/Area Number |
15590013
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石塚 忠男 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (60176203)
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Keywords | モレキュラーインプリンティング / 不斉認識 / ポリマー / ジアミン / アミノアルコール |
Research Abstract |
ビシクロ環系2-アミノアルコールを鋳型として、メタクリル酸をアミノ基の認識剤、エチレングリコールジメタクリル酸エステルを架橋剤として重合させることにより合成したインプリンティングポリマーを粉砕後洗浄することにより鋳型分子を取り除き、インプリンティングポリマーとした。 鋳型とした2-アミノアルコールと、構造の異なる2-アミノアルコール類の吸着性の違いを、溶液状態でポリマーと混合した上澄みのHPLC分析で調べたところ、鋳型分子の選択的吸着が認められた。溶媒による吸着の相違に関しても知見が得られた。 さらに、ラセミ体の鋳型2-アミノアルコールの溶液とポリマーの混合物の上澄み液を分析したところ、エナンチオマー間の吸着度の違いが見られ、ラセミ体からある程度の光学純度を持つもの(溶液)へ変換できる可能性を見いだせた。 重合時の条件による吸着性の変化に関しても検討した。重合性モノマー(メタクリル酸)と架橋剤(エチレングリコールジメタクリル酸エステル)の比率に関しては、架橋剤が多すぎても少なすぎても吸着性能が落ちることがわかったが、まだ最適条件の確定には至っていない。鋳型分子の量に関しては、多いほうが吸着性能は高いが、ポリマー骨格の問題(モノマー:架橋剤の比率に依存)も大きく影響するので、今後の検討が必要である。 インプリンテイングポリマー共存下での不斉反応に関しては、影響はあるものの個体存在下のためか結果のばらつきが多少見られる。現在、ばらつきの軽減に関する検討を行うとともに、触媒溶液とインプリンティングポリマーの混合物の上清の利用も検討中である。
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