2004 Fiscal Year Annual Research Report
糖部エポキシ構造を利用する分岐糖ヌクレオシドの合成
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15590020
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Research Institution | School of Pharmaceutical Sciences, Showa University |
Principal Investigator |
田中 博道 昭和大学, 薬学部, 教授 (50109477)
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Keywords | ヌクレオシド / 抗ウイルス作用 / 逆転写酵素阻害剤 / 分岐糖ヌクレオシド / エポキシド / アルミニウム試薬 / HIV / 不飽和糖ヌクレオシド |
Research Abstract |
不飽和糖ヌクレオシドをジメチルジオキシランのアセトン溶液で酸化することにより、不安定で今迄に例のない1',2'-および4',5'-エポキシドを調製することが可能になった。これらのエポキシドを有機金属試薬との反応で開裂し、糖部1'位および4'位に炭素鎖が分岐したヌクレオシドを合成した。 合成した新規な分岐糖ヌクレオシドの化学変換を行ない、得られた誘導体の抗ウイルス活性を調べた結果、4'位にエチニル基を有するチミンヌクレオシドに強い抗HIV活性が認められた。本化合物は、現在エイズ患者の治療に臨床の場で使用されているスタブジンよりも強い活性を有し、細胞毒性は極めて低い。HIV逆転写酵素の阻害剤として機能するヌクレオシド系抗HIV薬には、副作用の1つとして末梢神経障害が知られている。この副作用はミトコンドリアDNA合成の抑制によるものと考えられているが、本化合物はミトコンドリアDNA合成に対してほとんど影響を与えないことが明らかになった。 上述したエポキシドを経由する合成方法は、ジメチルジオキシランの高濃度アセトンの調製ができないために、本化学物を大量に合成する目的には適していない。安全性試験や将来の臨床試験を視野に入れて、本化合物の大量合成が可能な新たな合成方法を開発すべく研究を展開した。その結果、4',5'-不飽和チミンヌクレオシドに四安息香酸鉛を反応させると4'位にベンゾイルオキシ基が導入されることを見い出した。このベンゾイルオキシ基を脱離基とし、有機アルミニウム試薬を用いる求核置換反応によって4'位にエチニル基を導入する方法を試みた。 現段階では、エチニル体の収率は60%程度に留まっているが、4'位における立体選択性を完全に制御することに成功している。またこの反応の機構に関する研究から、糖部4'位がまずクロル化されることが引き続くエチニル基の導入に必須であることも明らかになった。今後は他の工程も含めた収率の向上をめざして、反応条件の検討を進める予定である。 本化合物の薬理学的な研究は、共同研究者であるチェン教授(米国、エール大学)によって実施される予定になっている。この研究に必要なラベル化合物を合成するために、その前駆体も合成した。 ここでは詳細には触れないが、本化合物の構造活性相関に関する知見を得る目的で、糖部分に炭素環や4'-チオ糖を有する4'-エチニル誘導体の合成も行った。
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Research Products
(6 results)