2004 Fiscal Year Annual Research Report
本邦産高等植物を対象としたバイオプロスペクティング:抗菌抗かびシード物質の探索
Project/Area Number |
15590022
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
木下 武司 帝京大学, 薬学部, 助教授 (10107386)
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Keywords | バイオプロスペクティング / 抗菌活性 / ハクウンボク / ノルネオリグナン / ナンテンカズラ / カサン系ジテルペン / ネオカエサルピン |
Research Abstract |
1、前年度のハクウンボク(Styrax obassia)果皮に引き続き、今年度は樹皮の化学研究を行った。樹皮のメタノールエキスを水に懸濁し、酢酸エチル、ブタノールにて分配抽出し、ブタノール層について各種クロマトグラフィにより分離、精製を行い、その結果、3種の新規ノルネオリグナン配糖体SOB04、SOB06、SOB08と既知物質SOB09を得た。構造解析は^1H-、^<13>C-NMRやHMQC、HMBCなどの2D-NMRを用いて行った。SOB04、SOB06のアグリコンはegonolのプロパノイド側鎖の1"位に、SOB08はhomoegonolのプロパノイド側鎖の1"位にそれぞれ水酸基が結合したものであることが明らかとなり、egonol系ノルネオリグナンとしては最初の例である。SOB04、SOB08はプロパノイド側鎖の3"水酸基にグルコース、SOB06はGlc-(1→6)-Xylがそれぞれβ配位で結合していることがわかった。 2、ナンテンカズラ葉の化学研究を行った結果、CCL01、CCL02と仮称した新規カサン系ジテルペンを得た。構造解析の結果、CCL01はジテルペン骨格の5位に水酸基がなく、α,β-butenolide hemiketalの部分構造を有すること、CCL02はそれが脱水した構造であり、いずれも植物化学的に珍しいネオカエサルピン系であることが明らかとなった。 3、沖縄県西表島における野外調査研究で植物研究試料を採集した。今年度は、抗菌活性試験で顕著な抗酵母活性を示した植物種を重点的に採集したほか、シロミミズなど予備実験で植物化学的見地から興味ある二次代謝物を産するものも採集した。 4、フィリピン国立博物館植物標本館にて、沖縄で採集した標本の同定を行った。ナンテンカズラなどジャケツイバラ属種の学名の混乱が明らかになったほか、希少種キョウチクトウ科ゴムカズラなどこれまで同定されていない植物種が同標本館における調査で同定できた。また、上述のハクウンボクと類縁であるエゴノキは西表島産と本土産とではかなり形態が異なり、フィリピン産に近い特徴をもつことも明らかになった。
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