2005 Fiscal Year Annual Research Report
アシルニトロソ化合物の分子内エン反応を機軸とする生物活性海洋アルカロイドの合成
Project/Area Number |
15590024
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Sciences |
Principal Investigator |
青柳 榮 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (30212385)
|
Keywords | ハリクロリン / アシルニトロソ化合物 / 分子内エン反応 / オレフィン閉環メタセシス |
Research Abstract |
ハリクロリン及びピンナ酸は、6-アザスピロ[4.5]デカンを共通基本骨格とする特異な分子構造を有し、それぞれ血管内皮細胞接着分子(VCAM-1)の産生阻害活性及び細胞質ホスホリパーゼ阻害(cPLA2)活性を有することから疾病治療薬開発のリード化合物として期待されている海洋アルカロイドである。アシルニトロソ化合物の分子内エン反応による6-アザスピロ[4.5]デカン骨格構築を基盤とする両アルカロイドの全合成を指向して本研究を行い、当該年度においては以下に述べる結果を得た。 これまでの検討により確立された、ハリクロリン及びピンナ酸の形式全合成経路における(5R*,13R*,14R*)-5,13-ジ置換アザスピロ[4.5]デカン中間体より出発し、脱TBDPS化,Dess-Martin酸化,Horner-Wadsworth-Emmons反応を経て側鎖伸長することによりアザスピロ[4.5]デカンのC-13位に5炭素ユニットを有する第二級アミン誘導体に導いた。さらにN-アルケニル化することにより閉環メタセシス反応の基質となるトリエンを合成した。次いでこのトリエンに、ジクロロメタン中で第2世代Grubbs触媒を作用させたところ、末端アルケン間での閉環メタセシスが選択的に進行し、ハリクロリンのC-1位からC-17位の骨格に相当するスピロシクロペンタンキノリジジン誘導体を得ることができた。ここに得られたスピロシクロペンタンキノリジジン誘導体は、2炭素鎖伸長の後に3-クロロ-3-ブテン-1-オールによるエステル交換、さらに閉環メタセシスによる15員環ラクトン形成を行うことによりハリクロリンに導かれることが期待される。
|