2004 Fiscal Year Annual Research Report
創薬を志向した芳香族酸化反応を基盤とする含窒素スピロ環化合物の合成
Project/Area Number |
15590026
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
本多 利雄 星薬科大学, 薬学部, 教授 (70089788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 尋丈 星薬科大学, 薬学部, 助手 (60308012)
加藤 美穂 星薬科大学, 薬学部, 助手 (40350219)
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Keywords | アザスピロ化合物 / ビロアロセクリニン / TAN1251C / TAN1251D / 閉環メタセシス / 芳香族酸化反応 / 生理活性天然物 |
Research Abstract |
医薬品には窒素原子を含むものが多く見られ、従来、含窒素天然物は医薬品開発における重要な存在とみなされてきた。そのうちでも、含窒素スピロ構造を有する化合物には顕著な薬理活性を示すものが多く知られ、たとえば武田薬工グループにより単離・構造決定されたTAN1251系の化合物はcholinergic作用を有し、ムスカリンM_1サブタイプ受容体に対し選択的拮抗薬として働くことから抗潰瘍薬あるいは抗パーキンソン病薬として期待されており、また、ロシアで小児麻痺の治療薬として用いられているセクリニンは抗痴呆作用なども示すことが知られている。今年度の研究費においては超原子価ヨウ素試薬を用い、チロシン二量体から誘導される第二級アミン類とフェノールの分子内酸化反応による炭素-窒素結合形成反応を鍵反応としてTAN1251系化合物の基本骨格をなす含窒素スピロ構造の簡易構築を行い(-)-TAN1251C及び(-)-TAN1251Dの効率的合成に成功した。 また、昨年度の研究費ではロシアで小児麻痺の治療薬として用いられているセクリニンの合成を行ったが、今年度はそのジアステレオマーであるビロアロセクリニンの立体選択的キラル合成法を確立した。本合成においては、セクリニンの合成と同様に、ジエインの閉環メタセシスを鍵反応としたが、この際その原料となるジエイン合成において、アルキニル基の立体選択的導入が重要となる。今年度はこれをキレーション制御下に行い、選択性の発現に成功すると共に、最終段階である4環性化合物構築の際の反応性についても明らかにすることが出来た。今年度の確立した合成法は含窒素多環系化合物の骨格構築に極めて効率的であることが判明した。
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Research Products
(3 results)