2003 Fiscal Year Annual Research Report
プリオンタンパク質の銅イオン酸化還元作用メカニズムの解明と機能性素子への応用
Project/Area Number |
15590037
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 隆史 東北大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (30222318)
|
Keywords | プリオンタンパク質 / 銅 / 還元 / 錯体 / 分子構造 |
Research Abstract |
プリオンタンパク質のアミノ末端側領域には、Pro-His-Gly-Gly-Gly-Trp-Gly-Glnという8個のアミノ酸からなる配列(プリオンオクタペプチド,OP)が4回繰り返して現れる領域(OP4)があり、この配列は種間で良く保存されている。OP4は銅イオンに高い親和性を示し、Cu(II)をCu(I)に還元する活性を持つ。本研究は、酸化還元の反応中心として、また構造制御装置としてもユニークなOP4の作用メカニズムを明らかにすることを目的とした。 OPがCu(II)還元活性を示すためには、この配列が少なくとも4回繰り返され、4個のHis残基のイミダゾール窒素が1個の銅イオンに配位する必要がある。この構造は、特にpH6付近の弱酸性条件で形成され、中性よりアルカリ性側のpHでは、OPのHisだけでなくアミド基の窒素も配位子となる。このため、OP4のCu(II)還元活性は弱酸性で最も高くなる。プリオンタンパク質は細胞膜表面に結合し、エンドソームに取り込まれるが、Cu(II)還元活性は細胞膜表面よりもエンドソーム内の方が高いと考えられる。一方、OP4領域のC末端側に隣接するOPと類似する配列Gly-Gly-Gly-Thr-His-Ser-Gln-Trpまでペプチド鎖を延長したところ、還元活性がOP4のみのときと比べて顕著に高くなることがわかった。延長領域のHisまたはThrを、それぞれアラニンに置換すると還元活性が減少することから、これらの残基のイミダゾール基と水酸基が軸配位子として銅との複合体形成に関与し、還元活性を高めている可能性がある。
|
Research Products
(1 results)