2004 Fiscal Year Annual Research Report
プリオンタンパク質の銅イオン酸化還元作用メカニズムの解明と機能性素子への応用
Project/Area Number |
15590037
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 隆史 東北大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (30222318)
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Keywords | プリオンタンパク質 / 銅 / 還元 / 錯体 / copper transporter |
Research Abstract |
プリオンタンパク質のアミノ末端側領域には、Pro-His-Gly-Gly-Gly-Trp-Gly-Glnという8個のアミノ酸からなる配列(プリオンオクタペプチド,OP)が4回繰り返して現れる領域(OP4)があり、この配列は種間で良く保存されている。昨年度までに、(1)OP4は銅イオンに高い親和性を示し、Cu(II)をCu(I)に還元する活性を持つこと、(2)OP4がCu(II)還元活性を示すためには、4個のHis残基のイミダゾール窒素が1個の銅イオンに配位する構造を取る必要があること、および、(3)この構造はエンドソーム内のpHに近い弱酸性条件で形成されることを明らかにした。本年度は、細胞内への銅イオン取り込みにおけるプリオンタンパク質の役割を明らかにすることを目的として、copper transporterタンパク質細胞外ドメインの銅結合に関する研究を行った。 copper transporterはプリオンタンパク質と同様に細胞膜表面に存在し、1価の銅イオンCu(I)を選択的に細胞内に送り込むイオンチャネルを形成すると考えられている。銅輸送の初期過程に重要な役割を持つと考えられるcopper transporterの細胞外ドメイン(N末端領域)の銅結合様式について調べた。その結果、銅結合部位、結合様式およびCu(I)とCu(II)に対する選択性はpHに依存して大きく変化することがわかった。特に、弱酸性条件では、メチオニンを主な配位子としてCu(I)を選択的に捕捉する複合体が形成される。プリオンタンパク質とcopper transporterは、共同的に銅の細胞内輸送を行っている可能性がある。
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Research Products
(2 results)