2003 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質多型が内因性物質の生理活性発現に及ぼす影響の分析化学的研究
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15590041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澁川 明正 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (30170913)
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Keywords | タンパク結合 / HPLC / アルブミン / チロキシン |
Research Abstract |
(1)甲状腺ホルモンであるチロキシン(T4)のような内因性物質と血漿タンパク質との結合研究を行う上で必要となる簡便で高感度な新規結合分析法を開発するために、高性能先端分析(HPFA)法を組み込んだオンラインHPLCシステムを構築したところ、血漿試料を前処理なしに直接注入するというきわめて簡便な操作により血漿中のチロキシン(T4)ならびにその関連物質であるトリヨードチロニンやリバーストリヨードチロニンの低濃度の非結合型濃度(2.37pM〜16.4pM)を同時定量できる結合分析システムを確立することに成功した。これには濃縮サブシステムの導入と高感度で選択性も高い電気化学検出器(本科学研究費補助金にて購入)を使用することにより共存物質の検出妨害を防ぐことができた点が大きく寄与している。 (2)アルブミンバリアントとT4との強い担互作用の立体選択的結合解析を通してタンパク質多型の結合多様性の影響を解明することを目的として、上記分析システムを使用してアルブミンとT4光学異性体間の結合解析を行った。その結果、結合定数がどちらの光学異性体とも1.01×10^6M^<-1>、HSA分子上の結合部位は2個所であり、L体T4とD体T4間で正常アルブミンとの結合性に大きな差は無いことが判明した。さらに、ワルファリン(アルブミン分子上の結合サイトI)とジアゼパム(アルブミン分子上の結合サイトII)を用いた競合実験の結果、両光学異性体とも、アルブミン分子上のどちらのサイトにも結合することが判明した。
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