2004 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質多型が内因性物質の生理活性発現に及ぼす影響の分析化学的研究
Project/Area Number |
15590041
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
澁川 明正 千葉科学大学, 薬学部, 教授 (30170913)
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Keywords | タンパク結合 / HPLC / アルブミン / チロキシン |
Research Abstract |
近年、アルブミンの218位アミノ酸配列が異なる遺伝的バリアントの発現率が高い家系群において、甲状腺ホルモンであるチロキシン(T4)濃度が高くなるhyperthyroxinemia症が頻発することが報告された。また、体内にはL体とD体のT4が共存し、異なる活性を示すことやL体の存在割合が多いが病態時にはL/D比が変動することが知られている。しかしながら、血漿中の低濃度の非結合型T4濃度を簡便に精度よく測定できる結合分析法は無く、新規分析法の確立が望まれている。本研究の目的は、T4とアルブミンをモデルケースに選び、申請者が開発した高性能先端分析(HPFA)法を利用して血漿中の非結合型T4濃度を簡便に定量するための分析法を確立するとともに、結合分析に適用することにある。 平成16年度は、まず、光学分離カラムを組み込んだオンラインHPFAシステムを構築し、L体とD体のT4が共存する試料中の非結合型濃度を各光学異性体ごとに定量できる分析法を確立した。この新規システムを用いて結合分析をおこなったところ、T4はL体もD体もヒト血漿アルブミン分子上のワルファリン結合部位(サイトI)とジアゼパム結合部位(サイトII)上で互いに競合的に結合し、アロステリック効果は見られないことが判明した。 次に、電気化学検出器(ECD)を組み込んだ新規オンライン分析システムを新たに構築し、ヒト血漿中のT4並びにその関連物質であるトリヨードチロニン(T3)並びにリバーストリヨーロチロニン(rT3)の非タンパク結合型濃度を高感度に精度良く同時測定することに成功した。本システムは、hyperthyroxinemia症のような遺伝病に及ぼすタンパク質多型の結合多様性の影響解明に貢献すると期待される。
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Research Products
(2 results)