2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590047
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
豊岡 利正 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40183496)
|
Keywords | 毛髪分析 / 液体クロマトグラフィー / 質量分析法 / 生体成分分析 / 幻覚麻薬成分 / 蛍光検出 |
Research Abstract |
薬物や生体成分等の生体機能性分子のモニタリングには、通例血液や尿が用いられているが、これらの試料の分析では、投与直後数分〜数日の比較的短い期間内の情報しか得られない。しかし、毛髪を試料とすることにより、数カ月から数年と比較的長期間の情報が得られるため、乱用薬物の使用証明に多く用いられてきている。しかし、毛髪分析に対するこれまでのほとんどの研究は、乱用薬物を毛幹部から検出したものであり、毛根部を試料としたものや薬物や生体成分を対象とした報告例は少ない。このような背景から、本研究では、生体機能性分子を対象に取り上げ、血中濃度と毛根濃度を測定比較し、血液や尿の代替試料としての毛髪の有用性を検証する。 今年度は、生体成分であるヒスタミンの毛髪分析及びマジックマッシュルーム中の幻覚物質のシロシン、シロシビンの毛髪分析の基礎検討として、LC-FL法ならびにLC-MS法による高感度分離検出を行った。 ヒスタミンは水溶性低分子化合物であり、LC-MS法等で高感度測定することは困難である。そこで、DBD-Fで蛍光標識後、カラムスイッチングLC-MS法で毛髪分析を行った。DAラットの毛幹部及び毛根部よりヒスタミンを検出でき、その濃度は血漿濃度と相関していた。一方ヒトの毛髪分析では、ヒスタミンは検出できるものの個体差が極めて大きかった。DAラットの結果より、毛髪濃度は血漿濃度を反影していることが明かとなり、生体成分の分析に際して毛髪は血液の代替試料になりうることが示唆された。 シロシン、シロシビンは、近年我国において、幻覚麻薬物質として、使用、所持が禁じられている。これまでこれらの物質を高感度で分離検出する優れた方法は、ほとんど報告されていない。そこで、毛髪分析の前段階として、LC-FL法ならびにLC-MS法による高感度分離検出法を検討した。狭雑成分の妨害を避けるため、シロシン、シロシビンは、それぞれDBD-Pro-COCl、DNS-EDで標識化後LCで分離し蛍光検出したところ、両化合物とも高感度分析が可能となった。また、シロシンについては、LC-MS法では、更に高感度化ができた。今後、これらの化合物の毛髪分析を検討する予定である。
|
Research Products
(3 results)