2003 Fiscal Year Annual Research Report
ナノフローLC/MSを用いたGPIアンカー型タンパク質の糖鎖の構造と機能解析
Project/Area Number |
15590052
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
川崎 ナナ 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 室長 (20186167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蜂須賀 暁子 国立医薬品食品衛生研究所, 機能生化学部, 主任研究官 (70184504)
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Keywords | LC / MS / LC / MS / MS / 2次元電気泳動 / 糖鎖構造 / GPIアンカー |
Research Abstract |
GPIアンカー型タンパク質は、リン酸エタノールアミンを介してトリマンノース、グルコサミン、及びホスファチジルイノシトールが結合した膜タンパク質で、脳・神経系では神経網形成などにおいて重要な役割を果たしていると考えられている。GPIアンカー型タンパク質のタンパク質部分には複数のN結合型糖鎖が付加しており、発生や疾患に伴って変化することが示唆されているが、膜タンパク質のため精製が難しいことや、分子構造が複雑であることなどから、糖鎖の構造や機能については明らかにされていない。そこで我々は、脳に発現するGPIアンカー型タンパク質の糖鎖の構造と神経網形成などにおける役割を明らかにする目的で、GPIアンカー型タンパク質を粗分画後、2次元電気泳動で分離し、質量分析法を用いて解析する方法を検討した。 生後5日のラットの脳をホモジネートし、TritonX114処理により膜画分を可溶化した後、温度依存性相分離を利用して膜画分を分画した。アセトン沈殿後、得られた膜画分から、ホスファチジルイノシトールホスホリパーゼC消化にようてGPIアンカー部分を切り離し、可溶性のタンパク質部分を回収した。この可溶性膜画分を2次元電気泳動で展開したところ、糖タンパク質に特徴的なトレイン状スポットが複数組確認され、ゲル内トリプシン消化後、capillary-LC/MS/MSで分析した結果、免疫グロブリン様ドメインを有するGPIアンカー型細胞接着分子IgLONファミリー分子(OBCAM,LAMP,NTM,kiron)、NCAM、及びThy-1と同定された。 つぎに、神経網形成に伴うGPIアンカー型タンパク質の発現量と糖鎖構造の変化を調べるため、3週齢ラットの脳を同様に処理し、生後5日のラットから得られた泳動像と比較したところ、3週齢ではIgLON、NCAM、及びThy-1が増加し、グライコーム分布も変化していることが明らかになった。現在、変化した糖鎖の構造を明らかにするため、各グライコームスポットから切り出した糖鎖をグラファイトカーボンカラムを用いたCapLC/MSで解析中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kawasaki, N., Ohta, M., Itoh, S., Hayakawa, T.: "Analyses of glycoproteins and glycopeptides by liquid chromatography/mass spectrometry, and liquid chromatography/tandem mass spectrometry"Methods Molecular Biology. 263-274 (2003)
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[Publications] Kawasaki, N., Itoh, S., Ohta, M., Hayakawa, T.: "Microanalysis-of N-linked oligosaccharides in a glycoprotein by capillary liquid chromatography/mass spectrometry and liquid chromatography/tandem mass spectrometry"Anal.Biochem.. 316. 15-22 (2003)
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[Publications] Ishii-Watabe, A., Uchida, E., Iwata, A., Nagata, R., Satoh, K., Fan, K., Murata, M., Mizuguchi, H., Kawasaki, K., Kawanishi, T., Yamaguchi, T, Hayakawa, T.: "Detection of replication-competent adenoviruses spiked into recombinant adenovirus vector products by infectivity PCR"Mol.Ther.. 8. 1009-1016 (2003)
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[Publications] 川崎ナナ, 橋井則貴, 伊藤さつき, 日向昌司, 川西 徹, 早川堯夫: "LC/MSを用いた糖鎖プロファイリングによるグライコーム解析"生物物理化学. (印刷中). (2004)