2004 Fiscal Year Annual Research Report
非選択的カチオンチャネルとしてのバニロイド受容体の生体機能と分布の解析
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15590056
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
堀江 俊治 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (50209285)
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Keywords | TRPV1 / 消化管 / カプサイシン / 免疫組織化学 / カルシウム拮抗薬 / 胃粘膜保護 / 和漢薬 / 知覚神経 |
Research Abstract |
生体機能惹起に関与するカルシウム拮抗薬抵抗性カルシウム流入経路の候補として、バニロイド受容体(TRPV1)に着目し、本年度はTRPV1の生体機能と分布について研究を行った。その研究結果の要点を以下の5点にまとめた。 1.マウス摘出下部消化管標本における消化管運動亢進作用:TRPV1が発現している知覚神経は、消化管ぜん動運動を亢進する方向に働いており、近位・横行・遠位結腸、直腸の各部位によってその反応が異なることが示唆された。 2.ラット胃損傷・潰瘍モデルにおける胃粘膜保護作用:カプサイシンは、胃体部損傷、幽門洞潰瘍の形成を抑制した。一方、バニロイド受容体遮断薬前処置、あるいは、カプサイシン感受性神経の除神経処置は胃幽門洞部の潰瘍を悪化させた。これらのことより、胃粘膜壊死惹起時において、TRPV1は胃保護的に働いていることが明らかとなった。 3.麻酔下ラット胃内灌流標本における中枢神経性胃酸分泌亢進作用:カプサイシンの脳室内投与は中枢のTRPV1を介して胃酸分泌を亢進させることが明らかとなった。 4.免疫染色による消化管TRPV1受容体の分布:ラット胃の凍結切片において、TRPV1神経線維は粘膜下の血管周囲と筋間神経叢に豊富に存在していた。本検討により、胃におけるTRPV1神経線維の分布を明らかにできた。 5.カルシウム拮抗薬抵抗性カルシウム流入に作用する天然薬物成分の探索:和漢薬、伝承民間薬成分の中から探索の結果、附子アルカロイド、生姜辛味成分がカルシウム拮抗薬抵抗性カルシウム流入を介して内皮依存性血管弛緩作用、消化管運動亢進作用などを惹起することを見いだした。
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