2003 Fiscal Year Annual Research Report
がんの骨転移と骨破壊におけるプロスタグランジンEの役割に関する研究
Project/Area Number |
15590070
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
宮浦 千里 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (20138382)
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Keywords | 癌細胞 / 骨 / 転移 / プロスタグランジンE / 骨吸収 / 乳癌 / メラノーマ / 破骨細胞 |
Research Abstract |
癌細胞が骨に転移すると散在性に発生し、予後を大きく左右する。骨転移巣では骨吸収が亢進し、骨の破壊が進む。炎症を伴う骨吸収にはプロスタグランジンE(PGE)の産生亢進が密接に関与するが、癌の骨転移巣の骨吸収におけるPGEの関与は明らかでない。そこで、本研究では、ヒト乳癌細胞(MDA-MB-231)ならびにマウスメラノーマ細胞(B16)を用い、マウスへの移入実験を行なった。ヌードマウスの左心室よりMDAを移入し、骨組織に転移させ、大腿骨の転移巣を摘出し、PGE産生にかかわる酵素の発現を調べたところ、癌細胞による骨吸収が亢進している骨ではシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)ならびに膜型PGE合成酵素(mPGES)の発現が著しく亢進していることが明らかとなった。また、MDAあるいはB16細胞と骨芽細胞を共存培養したところ、癌細胞と骨芽細胞が接着すると骨芽細胞におけるCOX-2ならびにmPGESの発現が促され、PGE産生が起こることが明らかになった。さらに、骨芽細胞と骨髄細胞の共存培養系にこれら癌細胞を加えると、骨吸収因子を添加しなくても破骨細胞の分化が誘導された。また、その破骨細胞形成はPGEの産生阻害薬の添加によって完全に抑制された。従って、癌細胞が骨組織に転移すると、癌細胞と宿主である骨芽細胞の間で情報交換が行なわれ、骨芽細胞で産生亢進したPGEが骨髄に存在する破骨細胞前駆細胞から成熟破骨細胞への分化を促し、骨吸収の亢進によって転移巣の骨破壊が進むと考えられる。B16細胞はマウスメラノーマであるため、ヌードマウスを用いなくてもマウスに移植が可能であり、骨組織のみならず、肺や肝臓、腎臓などにも広く転移することが明らかになった。今後は、B16細胞を用いることにより、宿主免疫系との関連も解析することが可能である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Chiho Matsumoto et al.: "B-Lymphocyes are elevated in mouse bone marrow by estrogen deficiency and induce RANKL expression in osteoblasts via cell adhesion."J.Health Science. (in press). (2004)
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[Publications] Chisato Miyaura et al.: "An essential role of cytosolic phospholipase A2 in PGE2-mediated bone resorption associated with inflammation."J.Exp.Med.. 197. 1303-1310 (2003)
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[Publications] Tomoyasu Ohshiba et al.: "The role of RANKL-indued osteoclast formation and MMP-dependent matrix degradation in bone destruction by breast cancer metastasis."Br.J.Cancer. 88. 1318-1326 (2003)
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[Publications] Tomoyasu Ohshiba et al.: "Role of prostaglandin E produced by osteoblasts in osteolysis due to bone metastasis."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 300. 957-964 (2003)
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[Publications] Katsumi Toda et al.: "Fenofibrate, a ligand for PPARγ, inhibits aromatase cytochrome P450 expression in the ovary of mouse."J.Lipid Res.. 44. 265-270 (2003)