2004 Fiscal Year Annual Research Report
がんの骨転移と骨破壊におけるプロスタグランジンEの役割に関する研究
Project/Area Number |
15590070
|
Research Institution | National University Corporation Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
宮浦 千里 国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (20138382)
|
Keywords | がん / 骨 / 転移 / 骨呼吸 / プロスタグランジンE / メラノーマ / マウス |
Research Abstract |
【背景】プロスタグランジンE(PGE)は骨吸収を促進するが、癌の骨転移における役割は明らかでない。PGEのレセプターはEP1,EP2,EP3,EP4の4種のサブタイプが存在し、骨吸収ではEP4の関与が重要される。しかし、骨転移巣におけるEPの関与は解析されていない。そこで、本研究ではマウス悪性黒色腫のB16メラノーマ細胞(B16)を用いて骨転移実験を行ない、癌の骨転移と骨破壊におけるPGEの関与を検討した。【方法】C57BL/6マウスにB16を心臓移入し、12日後に大腿骨を摘出して転移巣を確認し、骨密度を測定した。大腿骨の切片を作製し、形態学的に観察した。転移巣を有する大腿骨とコントロールの大腿骨について、骨髄液を採取し、PGE2のレベルをELISA法により測定した。B16を移植したマウスおよびコントロールのマウスにEP4アンタゴニストを経口投与し、骨転移の発現と骨破壊を比較した。【結果】(1)B16移入マウスでは大腿骨の遠位部及び近位部に黒い転移巣が観察され、骨吸収の亢進によって骨密度が低下した。転移巣では骨髄腔においてB16が増殖し、海綿骨が減少した。(2)骨転移巣を有する大腿骨より採取した骨髄液中のPGE2のレベルは転移巣を有しないコントロールの大腿骨より採取した骨髄液の場合に比較して高値を示した。従って、転移巣の骨破壊が進んでいる骨の局所ではPGE産生が亢進していると考えられる。3)マウスにEP4アンタゴニストを経口投与すると骨転移率に変化はなかったが、骨転移の程度が軽減し、転移による骨密度の低下が認められなかった。【考察】B16が骨に転移すると、転移巣局所でPGE産生が亢進し、そのPGEが骨芽細胞に作用して骨吸収を促し、骨破壊を進行させると考えられる。
|
Research Products
(4 results)