2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590073
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
阿部 和穂 武蔵野大学, 薬学部, 教授 (60202660)
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Keywords | 扁桃体 / 海馬 / 長期増強 / 情動 / 記憶 / Ca^<2+>チャネル / ドパミン |
Research Abstract |
高齢化社会を迎え、老年性認知症(痴呆症)患者が急増しているが、痴呆を治す薬を創るためには、記憶のメカニズムを解明することが必要である。私たちはすべての物事を同等に記憶するのではなく、特に嬉しかったことや怖かったことは良く覚えている。つまり情動によって記憶が左右される。認知症患者の中にも情動に障害があるために見かけ上記憶が障害されているように見える方が相当数いる。私は、情動によって記憶が左右されるメカニズムを解き明かすことにより新しい痴呆の治療法を開発したいと考えている。情動は脳の中で扁桃体とよばれる部分で形成され、記憶は海馬と呼ばれる部分で形成される。しかたがって、扁桃体と海馬の機能的関連を探ることが、情動と記憶の関係を解き明かす鍵となる。私はこれまでに、麻酔ラットを用いた電気生理学的研究を行い、扁桃体の電気刺激によって海馬より誘発電位が記録できることを発見し、扁桃体の外側基底核(BLA)から海馬の歯状回(DG)に至る神経路を明らかにした。さらに、このBLA-DGシナプスに高頻度刺激を与えるとシナプス伝達の長期増強(LTP)が起きることを発見した。LTPは一般に記憶に必要なシナプス可塑性として知られるので、本研究ではBLA-DGシナプスにおけるLTPの発生機構を検討することを計画した。 本(平成16)年度は、この研究を継続して、LTPの発生機構を薬理学的に解析した。とくに各種神経伝達物質ならびにその受容体の関与を検討した。その結果、BLA-DGシナプスにおけるLTP誘導には、NMDA受容体が関与せず、電位依存性L型Ca2+チャネルの活性化を必要とすることが明らかとなった。また、ムスカリン受容体、βアドレナリン受容体は関与しないが、ドパミンD_2受容体が関与することが明らかとなった。今後はさらに分子機構について解析を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)