2003 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化におけるプラーク形成と安定化に関わる因子と制御機構に関する研究
Project/Area Number |
15590079
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
佐藤 隆司 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (40065917)
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Keywords | プラーク / 動脈硬化 / 酸化LDL / コレステロールエステル / ホスホリパーゼA_2 / フィブロネクチン / matrix metalloproteinase |
Research Abstract |
当該年度では,プラーク形成の原因としてのマクロファージの泡沫化機構,さらに,プラークの安定性に関わるマトリックスタンパク質の産生,およびその分解をつかさどるmatrix metalloproteinase (MMP)の産生の分子機構を検索し,以下の成績を得た. 1)マウス腹腔マクロファージ,およびマクロファージ系RAW264.7細胞を用い,酸化低密度リポタンパク質(酸化LDL)の貪食に伴うコレステロールエステル産生に,細胞質型ホスホリパーゼA_2(cPLA_2)が関与する可能性を検索した.その結果,コレステロールのエステル化に必要な脂肪酸を,酸化LDLの貪食により活性化されたcPLA_2が膜リン脂質から遊離して供給することが示され,プラークの成因の一つであるマクロファージの泡沫化にcPLA_2が関与する機構が明らかになった. 2)酸化LDLによるマトリックスタンパク質産生のシグナル伝達機構を解析する一つのアプローチとして,腎メサンギウム細胞におけるフィブロネクチンの産生機構を検索した.その結果,酸化LDLは転写因子のSP-1を介してフィブロネクチンを産生すること,この反応の一部に活性酸素が関与すること,さらに酸化LDL中の脂質酸化物である7-ketocholesterolがこの反応を担うことが明らかになった. 3)プラークの不安定化に関与する最も重要な因子であるMMPの産生とその分子機構を,血管平滑筋細胞を酸化LDLで刺激して検索した.その結果,MMPの分子種のうち,MMP-1が著明に発現すること,その産生にextracellular signal-regulated kinase 1/2および転写因子のactivator protein-1が関与することが示された.さらに詳細なシグナル伝達機構について次年度に検索する.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Satoshi Akiba: "Oxidized LDL activates phospholipase A_2 to supply fatty acids required for cholesterol esterification."J.Lipid Res.. 44・9. 1676-1685 (2003)
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[Publications] Satoshi Akiba: "Involvement of reactive oxygen species and SP-1 in fibronectin production by oxidized LDL."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 310・2. 491-497 (2003)