2005 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー性鼻炎モデルを用いた鼻閉および鼻過敏症発症機構の解明
Project/Area Number |
15590080
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
河野 茂勝 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (50082988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奈邉 健 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (40228078)
安井 裕之 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (20278443)
竹中 洋 大阪医科大学, 医学部, 教授 (40137162)
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Keywords | アレルギー性鼻炎 / 花粉症 / 免疫療法 / 減感作療法 / 鼻閉 / くしゃみ / 鼻過敏症 / IgE |
Research Abstract |
我々が開発してきたスギ花粉を抗原としたモルモット・アレルギー性鼻炎モデルでは,ヒトの病態に類似して,反復のスギ花粉の吸入により血中に抗原特異的IgE抗体の増加が認められるとともに,花粉の吸入直後にくしゃみが,吸入1〜2および4〜6時間後に2相性の鼻閉が発現する。さらに,惹起10時間〜2日後に非特異的刺激に対する鼻過敏症が発症する。これらの症状のうち,患者の生活の質を悪化させる鼻閉および鼻過敏症の発症に奏功する治療薬は副作用が多いステロイド性抗炎症薬のみである。そこで今年度,鼻閉および鼻過敏症に対する治療法の開発をテーマに掲げ,経口免疫療法の有用性について吟味した。すなわち,感作モルモットに花粉の反復吸入を1週間間隔で行い,上記の鼻炎症状が十分に発現する時期より1週間に2回宛花粉エキスを経口投与することで惹起後の鼻炎症状の発現が抑えられるか否かの検討を行い,以下の成績を得た。 1.花粉エキスの経口投与は抗原特異的IgE産生ならびに惹起後のくしゃみの発現には影響を及ぼさなかった。 2.経口免疫療法開始約1ヶ月後より,2相性の鼻閉ならびにロイコトリエンD_4の点鼻に対する鼻過敏症(鼻閉)の発症がいずれも強く抑制された。 3.経口免疫療法を中止した少なくとも2ヶ月後まで,上記の抑制効果は持続していた。 以上より,経口免疫療法は鼻閉および鼻過敏症の発症を強く抑制することが明らかとなった。この効果の詳細な機構は明らかではないが,少なくとも抗原特異的IgEの産生抑制に基づかないことは明らかであり,むしろ鼻粘膜の効果器(血管)の反応性を低下させる何らかの粘膜免疫機構が働いていることに基づくと考えられる。経口免疫療法は患者が在宅で行えることから皮下免疫療法に比して有用であるが,これまでの臨床成績より効果が不確実であるとされてきた。今後,経口免疫療法のさらなる臨床的有用性の検討を期待したい。
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