2003 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインキナーゼG活性化によるアポトーシス制御機構
Project/Area Number |
15590082
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
前田 定秋 摂南大学, 薬学部, 教授 (00135732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山室 晶子 摂南大学, 薬学部, 助手 (20340862)
吉岡 靖啓 摂南大学, 薬学部, 助手 (40330360)
松田 敏夫 大阪大学, 薬学部, 教授 (00107103)
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Keywords | 一酸化窒素 / アポトーシス / サイクリックGMP / プロテインキナーゼG / RAW264細胞 / SH-SY5Y細胞 / Bax |
Research Abstract |
マウスマクロファージ様RAW264細胞において、高濃度の一酸化窒素(NO)供与剤のニトロプルッシドナトリウム(SNP)により誘発される細胞死に対して、低濃度のSNPの前処置は保護作用を示した。この低濃度SNPによる細胞死保護作用は、グアニル酸シクラーゼ阻害剤により抑制されたことから、NOのグアニル酸シクラーゼの活性化により産生したcyclicGMPを介した作用であることが示唆された。このことは、cyclicGMPアナログであるdibutylyl cyclicGMPの処置によっても高濃度NOによる細胞死が抑制されたことからも裏づけられた。また、低濃度SNPによる細胞死保護作用がプロテインキナーゼG (PKG)阻害剤のKT5823によっても阻害されたことから、NO/cGMP/PKGを介したものであることが明らかになった。一方、高濃度SNPによる細胞死が、細胞質からミトコンドリアへのBaxの移行により引き起こされることを明らかにし、NO/cGMP/PKGによる保護作用は、このBaxの移行の抑制によるものであることを明らかにした。また、低濃度SNPによる細胞死保護作用及びBaxのミトコンドリアへの移行阻害が、p38MAPキナーゼ阻害剤のSB20903により抑制されたことから、NOはp38MAPキナーゼの活性化を介してBaxのミトコンドリアへの移行を阻害し、細胞死を抑制していることが示唆された。 RAW264細胞の過酸化水素誘発細胞死に対して、低濃度SNPの前処置が保護作用を持つことを見出し、現在、その機構について検討中である。 ヒトニューロブラストーマSH-SY5Y細胞において、ペルオキシナイトライト(ONOO)処置により誘導されるアポトーシスの過程において、ユビキチン化たん白の蓄積と小胞体ストレスマーカーであるGRP78及びGRP94の誘導がみられた。また、ONOO処置により、小胞体ストレスのセンサーたん白であるATF6の限定分解がみられた。これらの結果より、ONOOによる細胞死に小胞体ストレスが深く関与することが示唆された。現在、この小胞体ストレスに対する低濃度NOの保護作用について検討中である。
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