2004 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインキナーゼG活性化によるアポトーシス制御機構
Project/Area Number |
15590082
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
前田 定秋 摂南大学, 薬学部, 教授 (00135732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 敏夫 大阪大学, 薬学部, 教授 (00107103)
吉岡 靖啓 摂南大学, 薬学部, 助手 (40330360)
山室 晶子 摂南大学, 薬学部, 助手 (20340862)
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Keywords | 一酸化窒素 / アポトーシス / サイクリックGMP / プロテインキナーゼG / 過酸化水素 / RAW264細胞 / Bax / p38 MAP kinase |
Research Abstract |
マウスマクロファージ様細胞であるRAW264細胞において、高濃度の一酸化窒素(NO)供与剤のニトロプルッシドナトリウム(SNP)により誘発される細胞死に対して、低濃度のSNPの前処理は保護作用を示した。この低濃度SNPによる細胞死保護作用は、グアニル酸シクラーゼ阻害剤により抑制されたことから、NOのグアニル酸シクラーゼの活性化により産生したcyclicGMPを介した作用であることが示唆された。また、低濃度SNPによる細胞死保護作用がプロテインキナーゼG(PKG)阻害剤のKT5823によっても阻害されたことから、NO/cGMP/PKGを介したものであることが明らかになった。一方、高濃度SNPによる細胞死が、細胞質からミトコンドリアへのBaxの移行により引き起こされることを明らかにし、NO/cGMP/PKGによる保護作用は、このBaxの移行の抑制によるものであることを明らかにした。また、低濃度SNPによる細胞死保護作用及びBaxのミトコンドリアへの移行阻害が、p38MAPキナーゼ阻害剤のSB20903により抑制されたことから、NOはp38MAPキナーゼの活性化を介してBaxのミトコンドリアへの移行を阻害し、細胞死を抑制していることが示唆された。 RAW264細胞において、過酸化水素は濃度依存的に細胞死を誘導した。また、過酸化水素処置によりアポトーシスの特徴である核の断片化、凝集が観察され、caspase-3活性の上昇およびDNAの断片化がみられた。低濃度のNO供与剤SNPあるいはNOC18の24時間前処置は、過酸化水素処置後のアポトーシスを起こした細胞の増加、caspase-3活性の上昇およびDNAの断片化を抑制した。このNOによる細胞死保護効果は、グアニル酸シクラーゼ阻害剤およびPKG阻害剤のKT5823により抑制された。これらの結果から、RAW264細胞において、低濃度NOは、過酸化水素により誘発されるアポトーシスに対してNO/cGMP/PKGを介して保護作用を有することが示唆された。 本研究により、過酸化水素やNO等の活性酸素種により引き起こされる細胞死に対して、低濃度NOがPKGの活性化を介して保護作用を有することが明らかになり、生体内での酸化的ストレスによる細胞傷害に対するPKGによる抑制が示唆された。
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