2004 Fiscal Year Annual Research Report
ピロリ菌のエンドトキシンによって産生される一酸化窒素の胃粘膜に対する作用
Project/Area Number |
15590087
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Research Institution | Yamagata Promotional Organization for Industrial Technology |
Principal Investigator |
吉村 哲彦 財団法人山形県産業技術振興機構, 生物ラジカル研究所, 副所長 (70271517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛西 重信 財団法人山形県産業技術振興機構, 生物ラジカル研究所, 研究員 (70342730)
森田 英利 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (70257294)
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Keywords | ピロリ菌 / エンドトキシン / 一酸化窒素(NO) / 胃粘膜 / 誘導型NO合成酵素(iNOS) / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
グラム陰性細菌の1種であるヘリコバクター・ピロリ(H. pylori、ピロリ菌)は胃および十二指腸の炎症、潰瘍、更にガンに関与することが知られており、病原因子に関する研究が行われている。一方、グラム陰性細菌のエンドトキシン(LPS)は誘導型NO合成酵素(iNOS)を誘導し多量のNOを産生することが広く知られている。本研究の目的は、病原因子候補の一つであるピロリ菌LPSの胃粘膜に対する作用と、LPSによって産生されるNOの役割について検討することである。iNOSの誘導因子としてLPSや炎症性サイトカインが位置づけられており、LPSは細胞上のTLR (Toll like receptor)により認識され、細胞内シグナル伝達機構を活性化するといわれている。また、大腸菌とピロリ菌LPSはそれぞれTLR4およびTLR2に認識され、胃粘膜病変と炎症性サイトカインの遺伝子多型との関連が示唆されているが、LPSや炎症性サイトカインのTLRおよびiNOS発現機構への役割についての検討は不十分である。今年度は、マウス正常胃粘膜培養細胞(GSM06)における大腸菌とピロリ菌LPSによるTLR2mRNA/TLR4mRNAおよびiNOSmRNAの誘導機構と炎症性サイトカインIL1β/TNFα/IFNγによる影響を検討した。その結果、大腸菌LPSはGSM06細胞に恒常的に発現するTLR4を介してNF?Bシグナル伝達系を活性化しiNOSとTLR2の発現誘導には各々IFNγとIL1βが相乗的に作用した。一般的にTLR2はグラム陽性菌の主要構成成分ペプチドグリカンを認識するといわれているが、TLR2の発現上昇は種々の外来病原菌に対する胃粘膜細胞の生体防御反応の一つである可能性が示唆された。
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