2003 Fiscal Year Annual Research Report
ジケトピペラジンを生体機能発現分子プラットホームとする抗がん・抗ウイルス剤の創製
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15590102
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
林 良雄 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (10322562)
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Keywords | ジケトピペラジン / 生体機能発現分子プラットフォーム / 抗がん剤 / フェニラヒスチン / 簡便合成法 / ラセミ化 / 抗チューブリン剤 / モノデヒドロジケトピペラジン |
Research Abstract |
平成15年度は、ジケトピペラジンの生体機能発現分子プラットフォームとしての有用性を検証するために、その新規簡便合成法の確立及び2つの異なった薬剤開発の可能性を探り、特に抗がん剤の研究では新規医薬品候補化合物の獲得に挑戦することを具体的な目標とした。 その結果、ジケトピペラジン類のなかでも1個のデヒドロ構造を有するモノデヒドロ-2,5-ジケトピペラジン類の簡便合成法を新たに開発することができた。モノデヒドロジケトピペラジンの既存合成法では、カルボニル基のα位のラセミ化を避けることができないが、本新手法ではラセミ化を抑えることに成功した。したがって、本手法は天然由来の抗腫瘍物質であるフェニラヒスチンなどの光学活性ジケトピペラジン誘導体の合成に有益である。さらに、モノデヒドロジケトピペラジン類のコンビナトリアル合成につながるものである。また、ジケトピペラジンの原料となる光学活性アミノ酸合成に有益な新規な固相担持型不斉補助基の開発にも成功した。 一方、強力な抗腫瘍活性を有するジケトピペラジ誘導体KPU-9を以前の研究から得ているので、更に高活性化を含むリードオプティマイゼーションを進めた。その結果、代謝酵素であるCytochrome P450に認識されやすいイミダゾール構造を、オキサゾール環構造に変換した新規ジケトピペラジ誘導体KPU-70がIC_<50>=0.46nMという強力な殺細胞活性を有することを見いだした。この化合物は抗癌剤の候補化合物の一つとして位置づけることができた。また、抗腫瘍化合物に関しては、プロドラッグ化の研究も行っており、高い水溶性を有する抗チューブリン剤の合成に成功した。次年度においては、さらに、生体機能発現分子プラットフォームとしてのジケトピペラジ類の有効利用を図る。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Kotake, S.Rajesh, Y.Hayashi, 他3名: "A New Polymer-supported Evans'-Type Chiral Auxiliary Derived from α-Hydroxy-β-amino Acid, Phenylnorstatine : Synthesis and Application in Asymmetric Alkylation Reaction."Tetrahedron Letters. in press. (2004)
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[Publications] Y.Sohma, M.Sasaki, Y.Hayashi, 他2名: "A Novel and Efficient Synthesis of Difficult Sequence-containing Peptides through O-N Intramolecular Acyl Migration Reaction of O-Acyl Isopeptides."Chemical Communications. 2004. 124-125 (2004)
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[Publications] M.Skwarczynski, Y.Sohma, M.Kimura, Y.Hayashi, 他2名: "O-N Acyl Migration Strategy toward Water-Soluble Prodrugs of Taxoids."Bioorganic Medicinal Chemistry Letters. 13. 4441-4444 (2003)
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[Publications] Y.Hayashi, M.Skwarczynski, Y.Hamada, Y.Sohma, 他2名: "A Novel Approach of Water-Soluble Paclitaxel Prodrug with No Auxiliary and No By-product : Design and Synthesis of Isotaxel."Journal of Medicinal Chemistry. 46. 3782-3784 (2003)